天理時報特別号2021年4月号3面
ないのです。それは、まずは「怖くはありませんよ。大丈夫ですよ」という安心感みたいなものであり、最低限これだけ知っておけば使えるという基本の機能なのです。ですから、使い方を説明する適任者の条件は、「知識が豊富なこと」に加えて、「素人の視線を忘れていないこと」になります。思い出してみてください。子供のころ、初めて卵を割ったときの緊張感を。「失敗したらどうしよう」「うまく割れなかったらどうしよう」そして恐る恐る、卵をまな板や器の縁にコツンコツンとぶつける。力加減も分かりません。失敗した人もいるでしょう。何度か繰り返すうちに、その力加減を覚え、上手に割れるようになる。誰しも、そういう経験をしているはずです。最初から卵をうまく割れる人は、珍しいのではないでしょうか。であるならば、子供にものを教える最適任者は?そうです。「自分が子供だったころのことを忘れていない人」です。子供のころ何を知りたかったのか、何をしてほしかったのか、どういう言葉で励ましてほしかったのかを忘れていない人だと思います。「そんなことぐらい簡単だよ」「そのうち分かるよ」ではなく、「分かんないよね、不安だよねえ。その気持ち、分かるなあ」と言ってやれる大人でありたい。子供は、そんな信頼できる大人から多くのことを学ぶのだと思います。絵おけむらはるえ私の好きな風景表紙のはなし西薗和泉IzumiNishizono「母子草と父子草」母子草(御形)は春の七草の一つに数えられ、春をすぐさまイメージしますが、父子草は、あまりにも地味すぎて目立つ存在ではありません。そこで今回、夫婦仲睦まじく、一緒に活けてみました。写生場所・・・・・・わが家の庭で採取にしぞの・いずみ1960年、奈良県天理市生まれ。84年、京都市立芸術大学油画科卒業。85年、天理中学校美術教諭(2021年3月まで)。著書に『木かげと陽だまり水彩こころの覚え描き』(道友社刊)がある。