天理時報2021年3月28日号2面
視点〝気づき〟をコロナ後の世界へコロナ禍による自粛生活も、はや1年が過ぎた。世界を揺るがす新型コロナウィルスのパンデミックの影響は、あらゆる分野に及び、よく聞く「当たり前だと思っていたことが当たり前ではないと気づかされた」という言説通り、私たちの日常を文字通り一変させた。その〝気づき〟を、いかにコロナ後の世界へ生かしていくのか。そのために周到な準備をすることが、いま課せられている至上命題であろう。しかしながら私たちは、その当たり前ではなくなった新たな日常を、すでに生き始めている。ワクチンの普及でマスクを着けない生活を取り戻す日が来ても、すべてコロナ前に戻る保証はない。リモートワークも社会のデジタルシフトも人々の行動変容も、従来のありように変化を迫られているすべての事柄が今後、当たり前のことのように暮らに定着していくだろう。ゆえに、コロナの教訓を真に生かすには、「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれる様変わりした日常を踏まえつつ、新しいアイデアや手法を生かした、次なる時代に向けての「イノベーション」を起こしていくことが期待される。イノベーションという言葉は、ビジネス分野を中心にさまざまな使い方がなされている。一般的には、既存の商品や仕組みなどに対して、新しい考え方や方法・技術を取り入れ、社会変革をもたらすことを意味する。この概念を提唱した経済学者のシュンペーターは、既存知の「ニューコンビネーション(新結合)」という言葉を用いて説明している。たとえばアップル社のiPhoneは、その典型だ。携帯電話という既存の商品に、ネット検索、ディスプレイタッチ、優れたデザイン性などを取り入れ、さらに既存の技術を組み合わせることで、人々の生活様式をがらりと変えた。元々は当たり前にあった仕組みや技術だが、新しい枠組みの中で組み合わせることで、創造性と美しさを兼ね備えた、当たり前ではない革新的なツール(道具)として世界に劇的変化をもたらしたのである。コロナによって新たな扉が開かれ、今まさに人類史の大転換期に生きる私たちは、将来に期待されるイノベーション像を描くことが求められていると思う。ところで、イノベーションを起こすには相対化が不可欠とされる。つまり、いま目の前の世界で常識として通用し、誰もが疑問を感じない前提や枠組みを、いったん引いた立ち位置から眺めて問い直してみるということだ。そのためには、異なる価値観からの示唆が一つの手がかりとなる。イノベーション関連の著作でベストセラーを連発している山口周氏は、異なる分野の人が交わる場所でイノベーションが生まれやすいと指摘している。つまり、異なる文化の接点には「ダイバーシティ(多様性)」が生じる。既存知と既存知の価値観の距離が離れている者が集まれば集まるほど、多様な組み合わせによる化学反応が起きやすくなり、イノベーションの可能性が膨らむということだろう。一昨年のラグビーワールドカップで、多様な国籍の選手が「ワンチーム」となり、世界を驚かせる大躍進を果たした日本代表のように、一つに「混じり合えば強くなる」のだ。このような価値観がおそらく一般化していくコロナ後の世界には、加速度的に進むⅠCT(情報通信技術)と、高度に発達したAI(人工知能)を実装した未知なる局面が到来することが予想されている。そのとき果たして何が起きるのか、社会は人間はどう変わるのか、誰も見通すことはできない。しかし、そんな混沌とした状況で、手探りをしつつも拠り所となるのは、人間が生きることへの意味を根本から問う営みであろう。もとより、私たちお道の者は、その答えである「陽気ぐらし」を、元の親から教えられている。濃い霧に閉ざされたような社会で、戸惑い、さ迷う人々に、親の教えという一筋の光明を、あらゆる手だてを尽くして届ける意味は大きい。その一つとして、このたび刷新される『天理時報』タブロイド判をベースに、ネットへの展開を通じて〝陽気ぐらしの情報〟を社会へ発信する意義は一層高まる。その可能性をはらんだイノベーションの第一歩が、この4月にスタートアップする。(ま)ひながた手本にたすけ一条の道をおつとめ衣での門出将来の道の中核を担う人材を育成する天理教校(久保善平校長)は9日、大亮様ご臨席のもと、おやさとやかた東右第1棟4階講堂で卒業式を挙行した。今年度の卒業生は本科研究課程1人、同実践課程2人、専修科5人の計18人。この日は、大亮様が真柱様のご祝辞を代読。おつとめ衣に身を包んだ若き布教師たちは、たすけ一条の道に邁進する誓いも新たに、学び舎を巣立った。天理教校卒業式今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防止する対策として、卒業生、保護者、関係職員のみが会場に入って式典を執り行った。式では、遥拝に続き、久保校長が本科研究課程、同実践課程、専修科の代表に卒業証書を手渡した。席上、大亮様が登壇し、真柱様のご祝辞を代読された。ご祝辞の冒頭、卒業生にお祝いの言葉を述べられたうえで、教祖は、親神様が思召す世の中を形に表そうとひながたの道をつけ、身をもって陽気ぐらしを味わう手本を示されたと指摘。ひながたは、いつの時代もこの道を通るうえに欠くことのできない確かな教科書であるとして、「ひながたにこもる神意を悟らせていただけるよう努力を重ねたい」と話された。続いて、中山正善・二代真柱様が、ひながたの道をたどって陽気ぐらしの実現を求めるお互いの心定めとして、「神一条の精神」「ひのきしんの態度」「一手一つの和」の三信条を掲げられたことに言及。そのうえで80年経ったいまも、三信条は私たちようぼくの心得として生き続けていると話された。さらに、三信条の実践において真っ先に取りかかることが、心のほこりを払うことであるとして、「ほこりの説き分けに基づいて自分の心を反省し、気づかぬうちに積もる目には見えないほこりを、こまめに払う習慣を身につけてもらいたい」と求められた。この後、たすけ一条の喜びをもって立ち働き、お道のうえに真実を尽くすことが、教祖からようぼくとしてお許しいただいた者のつとめであると強調。「身上や事情をはじめ、にをいがけ・おたすけで経験することなど、自分に見せていただくことはすべて親神様から頂戴する、その時々の自分にふさわしいご守護の姿である。成ってくることから思案を深めて、親神様・教祖のお心をしっかり悟らせていただけるようぼくに育つ努力を怠ることなく、日々を送ってもらいたい」と述べられた。最後に、天理教校でたすけ一条の道を通るための方法を学んだことを踏まえ、「これからは、それぞれの場所で学んだことに磨きをかけ、さらに信仰を掘り下げ、生涯かけて道を求めながら、お道の人間としての完成を目指して元気に歩んでくれるよう」と激励された。これに先立つ訓辞では、久保校長が同校のモットーである「求道と伏せ込み」にふれ、自らが道を求めるからこそ、頑張ろうという意欲も湧き、伏せ込むからこそ芽生えを見せていただけるとして、「これからも道を通る限り、忘れることのないよう常に心がけてもらいたい」と話した。また「世界の人が皆、真っ直ぐやと思うている事でも、天の定規にあてたら、皆、狂いがありますのやで」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』31「天の定規」)とのお言葉を引いたうえで、天の定規、教祖の教えは決して変わること、狂うことのない指針であるとして、「自分に教えを合わせるのではなく、自分を教えに合わせていく。このことは、道を通るお互いにとって本当に大切」なことだと強調した。このほか式では、本科研究課程の卒業生代表が「謝辞」。続いて、同実践課程と専修科の代表が「誓いの言葉」を述べた。式後、春うららの陽気が満ちるなか、卒業生らは晴れ晴れとした表情で本部神殿へお礼参拝に向かった。なお、今年度の卒業生の進路は次の通り。教庁、学寮幹事など、親里の各施設勤務23人。教会、信者詰所、海外伝道庁勤め人。本科実践課程7人。布教の家、単独布教2人。修養科2人。その他100人。天理教校の卒業式では、大亮様が真柱様のご祝辞を代読された(9日、おやさとやかた東右第1棟4階講堂で)11校・施設から2千人巣立つ管内学校卒業式今年度の親里管内の卒業式は、各校とも新型コロナウイルスの感染防止対策を講じたうえで挙行。天理中学校(10日)、天理医療大学(12日)、天理幼稚園(16日)などに続き、20日の天理小学校をもって終了した。幼稚園から大学まで11校・施設の卒業生総数は1千人を数えた。天理大学(永尾教昭学長)|は1日、卒業証書・学位記授与式と同大学院の学位記授与式を杣之内第1体育館で挙行。入場者を制限する一方、式の様子をライブ配信した。今年度は学部生7人、大学院生7人の計24人が所定の課程を修了。このうち伝道課程4人、矯正・保護支援課程1人、日本語教員養成課程9人が修了した。また、ラグビー部の松岡大和前主将ら2人に学長顕彰が贈られた。式辞に立った永尾学長は陽気ぐらし世界とは、苦労はあるが、決して不幸ではない世界だと思う。その苦労は、いずれ自らの喜びとなって返ってくる」と強調。コロナ禍のなか巣立つ卒業生に、はなむけの言葉を贈った。天理教語学院(内田吉男校長)は8日、同校講堂で第2回卒業式を挙行。日本語科9人、おやさとふせこみ科9人の計18人が卒業した。卒業生の出身地の内訳はネパール、タイ、ミャンマ、韓国、アメリカ、ハワイ、ブラジル、メキシコ、コロンビアの9カ国・地域。式典で祝辞に立った田中善吉・海外部長は「これからも教祖の教えをしっかりと心に置いて、おぢばと、それぞれの国や地域を結ぶ〝懸け橋になっていただきたい」と期待を述べた。天理大の卒業式では、入場者を制限する一方、式の様子をライブ配信した(19日、天理大杣之内第1体育館で)天理教語学院の卒業生は、晴れやかな表情でお礼参拝へ向かった和楽「いつかはクラウン」のフレーズが懐かしい、トヨタ自動車の高級セダン「クラウン」。昭和から平成、令和と三つの時代を走り抜き、日本の憧れの乗用車の一つだ►誕生から6年もの伝統あるクラウンだが、昨年の11月、従来のセダンタイプの生産販売を終了するとの報道があった。現代の生活様式やニーズに合わせ、今後はSUV(多目的な空間を持つスポーツ車)に形を変えるとのこと。長年のユーザーには衝撃的な大変革であろうが、造る側からすればユーザの笑顔を一番に考えたことと察する本紙『天理時報』も次週から大きく生まれ変わる。タプロイド判化をはじめ、文字サイズ、紙質、デザインなど、読者がより親しみやすい内容へと大きく変化する。従来の形にこだわることなく、読者の笑顔を求めて踏みきった、まさに“読者ファースト”の刷新である刷新に伴い、当コラム『和楽』は今号で幕引きを迎える。平成1年、それまで『デスクサイド』と称されたコラムが『和楽』と命名され、小欄は始まった。以来、読者の心の糧になることを願い、幾人もの手によって綴られてきた。筆者も末席を汚しながら、5年にわたって拙文を連ねてしまった。「社説は新聞の真顔、コラムは新聞の笑顔」と聞いたことがある。相手を笑顔にするには、自分が笑顔でいなければならない。『和楽』の名の通り、読む側とペンを握る側が互いに打ち解け、楽しめる場となるよう、常に読者の笑顔を思い浮かべながら、筆者も笑顔でペンを走らせた形が変わろうと、『天理時報』は親里と読者をつなぐ尊い懸け橋に違いない。本紙そのものが和楽の場であり続け、より多くの笑顔が生まれることを心から願い、小欄の幕を引くことにしたい。(中田)おたすけに困ったときはお気軽にお電話ください教会長おたすけ相談室受付専用ダイヤル0743-63-1641