天理時報2020年12月6日号4面
第14期読者モニター企画ようぼくdeTalkわたしの道しるべ心に残る〝忘れえぬ教え、第3回テーマおふでさき人生を歩む中で、さまざまな分かれ道に立ったとき、教えは〝道しるべ”として、私たちが進むべき道を指し示す第14期読者モニター企画では、忘れられない教えの一節にまつわるエピソードを語ってもらう。第3回のテーマは「おふでさき」。毎日をいつも通り〟に生駒優子さん5歳・会社員・名古屋市親神様は、人間が陽気に生きる方法をお教えくださった。また、病気になったり困ったことが起きたりしたときも、どうすればいいのかを示してくださる。まさに至れ尽くせりの大きな親心である。昔から体力に自信がなく、5年前には大きな病気に見舞われた。しかしそのたびに、「心さいしんぢつ神がうけとればどんなほこりもそふぢするなり」(十三号23)のお歌を思い起こし、「神様に喜んでいただくには、何をしたらいいのか」を考え、実行してきた。たとえば、通勤途中にもごみ拾いをしたり、所属教会へ毎日、感謝の気持ちを綴ったはがきを出したりしている。私なりに真実の行動を重ねるうちに、ようやく毎日をいつも通り〟に過ごせるようになってきた。いま元気に暮らせることに、感謝の思いが溢れてくる。すがる思いで全首拝読山本良徳さん約20年前、夫婦で旅行に出かけたときのこと。帰りの飛行機の中で、妻が急に鼻血を出し、止まらなくなった。帰宅後、すぐに病院へ向かうと「特発性血小板減少性紫斑病」と診断され、緊急入院。医師からは「非常に危ない状態です。覚悟しておいてください」と告げられた。突然のことに呆然とするなか、妻の危篤を知った所属の教会長夫妻が駆けつけ、おさづけを取り次いでくださった。そのとき、ふと「妻がたすかるには、親神様におすがりするしかない」と思い、毎日「おふでさき」1千加首すべてを拝読すると心定めした。それから、妻がいる集中治療室の前で毎晩、一人で「おふでさき」を拝読し続けた。10日ほど経ったころ、妻の容体が快方へ向かい、入院から40日後には無事に退院できた。親神様のご守護のありがたさを、あらためて確信した瞬間だった。あれから20年。先日、15歳の誕生日を迎えた妻は、いまも元気に家事に勤しんでくれている。お歌にふれるたびに、あの日の感激が蘇る。離れていても「一手一つ」古川真由美さん5歳・契約社員・天理市今年4月、全国各地に「緊急事態宣言」が出された。こうしたなか、教祖誕生祭に合わせて企画された「天理ドリームオーケストラ」のリモート演奏をインターネットで視聴し、教友たちの素晴らしい演奏に感激した。背景には、テクノロジの発達があるのは言うまでもない。むしろそれが、この日のためにあったのではないかと思えるほどだった。今年は、教祖の御前に道の子が集い、お祝いの歌を歌うことは叶わなかったが、リモート演奏に合わせて教友たちがご誕生日をお祝いする姿に、「一手一つ」の心を感じた。世界がどれだけ離れていても心を合わせることができる。そう実感できただけでも、今年は本当に素晴らしい年だったと思う。「月日にハとのよな事も一れつにみなにをしへてよふきづくめに」(七号18)とある。このお歌の意味を、一人でも多くの人と味わうことができれば、きっとこの大節を乗り越えられると思う。妻にお道の心”を伝え千野裕太郎さん先日、妻が第一子となる娘を無事出産した。妻は未信仰だったが、妊娠が分かり、本部神殿で参拝した際に、私の手に合わせて真剣におつとめを勤めていた。また、出産前の不安を少しでも和らげようと、お道の教えの一端を話したところ、「かしもの・かりものの理」について少し理解できたようだった。迎えた当日、妻は、びや許しを頼りに、親神様にもたれて出産を乗り越えた。無事に娘が産まれたとき、妻は自分の母親に「こんなに痛い思いをして、私を産んでくれてありがとう」と、真っ先に感謝の言葉をかけていた。妻が〝お道の心〟を受け取っていたように感じ、うれしい気持ちになった。「しゃんせよハかいとしよりよいきでも心しだいにいかなぢうよふ」(四号13)妻の出産を通じて、「かしもの・かりものの理」を心に治め、どんなときも素直に感謝する心で通らせていただくことが大切だと感じた。これからも親子仲良く、心の成人を目指したい。絵・西村勝利読者モニターの声ウェブで公開中!道友社ホームページでは、読者モニターから寄せられた『天理時報」への意見や感想を掲載中。人気の記事がどのように読み深められているのの情景●エッセイスト川村優理七月隆文作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』恋は時間を超えて美大の学生である20歳の高寿は、通学の電車の中で愛美という同い年の女の子に出会って、ひと目で恋をします。二人は優しく恋を育んでいくのですが、愛美は「となりのくに」と呼ばれる、時間が逆行する世界の住人で、二人は5年に1度、40日間だけ会える運命にありました。二人が同じ20歳である「今」のわずか40日が過ぎれば、次に二人が出会えるのは5年後。高寿は2歳、愛美が15歳になっています。その次に出会えるとき、高寿は30歳で、愛美は10歳。その次は、35歳と5歳。二人が恋のできる年齢に会えることは、もうないのでしょうか。実は愛美は、5歳のときの高寿の命を助けた当時353歳の女性です。愛美が5歳のとき、35歳の高寿が彼女を火事から救っていて、循環する不思議な時間の流れが、これまでとこれからの二人を結びつけています。高寿は彼女をかけがえのない人と感じて、両親に紹介しました。一人の人を愛して、その人と新しい家族を持ちたいと願い、周囲が祝福してくれる風景は、誰の人生においても、最高の幸せの場面だと思います。ですが、二人を支配する悲しい時間の歯車は、そこで止まろうとはしませんでした。4日目が来て、愛美は高寿の前から不意に姿を消してしまいます。高寿は一人、駅のプラットホームに取り残され、二人の想いだけが、時間を引きちぎろうとするかのように二人を結びつけていました。恋は時間を超えて、人の心にかけがえのない何かを残していくものです。それは自分という人間の中に大きな部分を占め、色あせることなく、いつしか自分の一部分となっていきます。お互いが強い想いで結ばれた恋に別れが訪れたとしたなら、その悲しみは、どれほど深い傷となることでしょう。ですが、恋をして、共に家族をつくりたいと願ったという記憶は、悲しみから眼差しを上げて次の一歩を踏み出すとき、必ず大きな力となって自分を支えてくれるものです。小説を原作とする映画の副題は「Mytomorrow,Youryesterday」(ぼくの明日、きみの昨日)となっています。人を愛する心はきっと、明日も昨日も、すべての時間を一つに包み込む、もっと大きいものだと感じました。七月隆文は、京都精華大学卒業。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、京都を舞台にした小説から選ばれる第3回京都本大賞を受賞し、福士蒼汰主演で映画化。小説の累計発行部数は10万部を記録している。「火と水と風と」写真当選者発表11月15日号の「火と水と風と」にご応募いただき、誠にありがとうございました。応募総数は37通。抽選の結果、次の10人の方に六ッ切大の額装写真をお送りします。・当選者(敬称略)◎北海道田中陽子青森県小野恵◎千葉県上野友之亮愛知県山田泰嗣◎三重県・山本長生京都府桑原慶子◎大阪府中本久子広島県浅田文子◎愛媛県中野邦子◎福岡県佐志信夫文芸連載小説ふたり星の降る夜は作/片山恭一画/リン第13話サユリさんのリサイタル前話のあらすじトトに連れられて、省吾の農場へ出かけた。以前から省吾の豚の飼育方法に興味を抱いていたトトは、実際に話を聞いて感心する。「犬を飼っているんだね」。店に入ってきたツツが、わたしに気づいて言った。「名前はなんていうの」わたしに訊かれても「ワン」としか答えられない。カンは店の隅のテーブルからちょっと顔を上げただけで、また暗記カードをめくりはじめた。ハハが代わって答えた。「ピノか」。ツツはうっとりした顔でわたしを見た。「いい名前だね。こんにちは、ピノ」よく喋る娘だった。カンと足して二で割ればちょうどいいのに、とわたしは思った。どうも人間は犬ほどバランスよくできていないようだ。あとから店に入ってきたサユリさんとハハは初対面だった。二人は簡単に自己紹介をした。「主人もわたしもここのパンの大ファンなんです」「わたしもよ」。横からツツが言った。ハハはうれしそうにうなずいた。「今度、ピアノのリサイタルを開くことになったんです」。サユリさんは小さな紙切れを差し出した。「町の施設を借りた簡単なもの3ですけど。よかったら、みなさんで聴きにきてもらえないかなと思って」ハハは喜んで行きますと答え、お礼に焼き立てのパンをたくさん袋に入れた。ツツはわたしに向かって「バイバイ」と手を振った。カンにもさようならを言ったけれど、あの子はカードに目を落としたまま、うなずいただけだった。この町に引っ越してきてから、ハハは波乗りをやめてしまった。きっぱりやめたわけではなかったが、少しずつ回数が減り、いつのまにかボードは乾いたままの状態になった。せっかくきれいな海があり、サーファーもほとんどいないのにもったいないことだ、とトトは何度か波乗りに誘ったけれど、彼女にはおいしいパンを焼くことのほうが大事なようだった。それにカンのこともある。もしも自分の身に何かあれば、あの子はどうなる?もちろん何があろうと、わたしが付いているか大丈夫だハハが本格的にパン作りをはじめたのはトトと結婚してからだった。新婚旅行で訪れた外国の小さな町のホテルで朝食に出されたパンを食べたことがきっかけだったらしい。こんなおいしいパンを自分も作りたいと思った。食べた人を元気づけるパン。明るい気持ちにさせるパン。「おいしいパンを食べた人は、とても幸せな気分になって、こんな幸せを自分だけで味わうのはもったいないって思うんじゃないかな。そして誰かにわけてあげたくなる。幸せは半分けしても、また半分わけしても、いつまでもなくならない」なるほど。大切なことは、そうやって伝わっていくのかもしれない。ハハの焼くパンのようにふっくらといい匂いをさせるものとしてもらった人が、思わず半分けして誰かにあげたくなるようなものとして。わたしは世界中の人たちがおいしいパンを食べて幸せになればいいなと思った。時報歌壇植田珠實選やわらかき陽の光に包まれてゆっくり踏み出す誕生日の朝笠間市石井真美よたよたと足引きづりて種蒔けば発芽は一気に足並み揃え尾道市福島悦子しなふ枝にたわわに実る銀杏はこぼれゐるなり親里大路に高槻市石田たまの胃を病めばあれだめ、これもとやぶ栄養士喧嘩腰なり二人の夕餉川崎市木村道治今まさに入籍せしと初孫の笑顔溢れるラインの写真福山市藤井光子十歳の女孫の呉るる「おやすみ」のメールは明日の活力ならん大阪府中村ハルミ心地よく目覚めし朝の食卓の青き林檎のさくさくと沁む近江八幡市村井八郎赤とんぼ人恋しいか背に肩にくれば自転車乗れず動けず秋田市髙橋重きもの曾孫六キロ、イタリヤの血をひくマリー一れつきょうだい伊勢原市宇佐美正治一升の新米下げ来し同級生厨に充つるかをりの温し生駒市栄嶋享永秋晴れにふとん干しつつ嬉しくて生きるつもりの三年日記天理市井上弘子コツコツと午前二時に杖の音どこへ出かける独居老人奈良市たえ子乱視ゆえ林の彼方に沈む日は余光残照幾重ものこす奈良市大西すみ紅あずま箱に納める芋農家娘を嫁に出すがごとくに所沢市岡田陽一大声で昔うたった歌うたうさびしいけれど若さもどらず常陸太田市梶山文子読む前の今朝の新聞みだれ散る隅にちょこんと澄ます愛猫天理市可児帰れなくなって一層思い出す心安らぐぢばの温もり岸田おつとめを終えてペダルを踏むわれに寄りそいくるは金木犀の香貝塚市武田節子なるほどと思う日が来ることを信じて草引く後一時間天理市栗田旬大なんでもと心定めて歩き出す陽気ぐらしのロマン掲げて天理市門脇大今週の選者詠あかときの野に拾ひ椎濡れゐて月のにほひのしたり【評】石井さん―――朝に目覚めれば、ああ、今日は誕生日。ゆっくり生きていこうとする、秋の柔らかい光の中の作者の心が見えてきます。前向きな気持ちの佳いお歌です。福島さん―――畑に蒔いた種が、いつしか芽生えているのを見るのは、うれしいものです。弱った足で頑張って蒔いて良かった。土から一斉に顔を出した芽を、いつまでも見つめる作者なのでしょう。石田さん―――今年も親里大路の銀杏並木の黄葉は見事でした。輝く黄金の葉の奥には、それはたくさんの実が。ある歌友は毎年、実を丁寧に洗い上げて、袋に入れてくださいます。その美味なこと。木村さん―――病まれても、元気な木村さん。「やぶ栄養士」は奥さまでしょうか。心を込め病後のご主人のために、お食事を作られているのですね。お二人の言い合いつつも愛の溢れる、楽しげな夕餉の様子が見えてきます。藤井さん―――初孫さんのご結婚おめでとうございます。このお歌から、あなたの笑顔もお孫さんの笑顔も見えますよ。天理教校の学生さんから、今年も布教実修のお歌が届きました。後ろから二つのお歌です。投稿は無地のハガキに俳句3句、または短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号を記載のうえ、楷書でボールペンで書いてください。〒632-8686天理郵便局私書箱30号「時報俳壇」または「時報歌壇」係[email 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