新春インタビュー 中田善亮・表統領に聞く(下)
いまこそ節から芽を出す思案を深め
信仰者としての確たる自信を持とう
中田善亮・表統領に、教祖140年祭へ向かう三年千日活動をつとめるうえでの心構えを聞くインタビュー企画。その〈下〉では、コロナ禍をはじめとする昨今の世情を踏まえつつ、いま、一人ひとりに求められている信仰姿勢について語っていただいた。
節をすべて生かす前向きな思案を
――長引くコロナ禍、戦争、頻発する自然災害など、私たちはさまざまな節を見せられています。いま私たち一人ひとりに、どのような思案が求められているのでしょうか。
確かに、いまの世相を眺めてみると、勇める材料はあまり見当たりません。しかし、こうした中にこそ、「お見せいただく節をすべて生かす」という姿勢が大切だと思うのです。
世の中で起きていることに、どんな親神様の思召が込められているのか、それぞれに思案しておられることでしょう。ただし、あれこれ考えすぎるあまり、「親神様は、こういうことを、ご注意くださっているに違いない」と、単なる戒めというか、後ろ向きな思案に終わってしまってはいけないと思います。そうではなくて、「いま目の前にある難しい状況は、いずれも、親神様が私たちが節から芽を出すことを期待してお見せくださったことに違いない」と、あらゆる困難に対して前向きな思案をさせてもらうことが肝要です。
たとえばコロナ禍によって、長らく続いてきた本部行事が軒並み中止を余儀なくされました。これも見方を変えれば、毎年やってきたことを、いったん仕切り直して一から考え、新たに積み上げていくための準備期間を、親神様が整えてくださったという考え方もできると思うのです。いまだ予断を許さない状況が続いているとはいえ、当初のように一律に外出自粛が呼びかけられることはなく、昨年以降、おぢばの行事も段階的に再開しつつあります。そういう意味で、コロナ禍の節は、年祭への新たなスタートを切るうえで、ちょうど良いタイミングでお見せいただいたのではないかと感じています。
――ところで、10年前に比べて、ライフスタイルや価値観の多様化、さらには、昨今の宗教に対する厳しい世間のまなざしなど、世の中の様相は大きく変化しています。こうしたなか、お道の信仰者として大切にすべきことは何でしょうか。
昨年来、宗教に対するさまざまな報道を見聞きする中で、萎縮してしまっている人もいるかもしれません。しかし、教祖ご在世当時は官憲からの度重なる迫害干渉を受けるなど、状況はもっと切迫していたのです。それを思えば、いまの私たちの状況は、まだ易しいものだと思います。
いま大事なのは、信仰者としての確たる自信を持つことだと思います。教えをどのように人々へ伝えていくかを考えるのと併せて、私たちが真正面から信仰と向き合い、心から喜びを感じること、そして、この教えに間違いないという信念を持つことが求められていると感じています。
周囲の状況がいかに変わろうとも、それによってお道の教えや教祖のひながたが変わるということはありません。ですから、われわれが目指すところも変わらないのです。
その達成に向けては、いまだ教えを知らない人々に親の思いを伝え、自分中心の心を入れ替えてもらうことから始まります。ですから第一に考えるべきは、人と人とのつながりです。世の中の動きにとらわれすぎず、目の前で身上や事情に苦しんでいる人たちに、進んで手を差し伸べていく。その結果として、教えに導かれる人が次第に増えていき、世の中が陽気ぐらしへと建て替わっていくのだと思います。
ご守護を頂くための手だてを実行する
――年祭へ向けて世界たすけの歩みを進める中で、教祖がようぼく一人ひとりに求めておられることを、あらためてお聞かせください。
「諭達第四号」の冒頭にも示されているように、教祖が世界一れつをたすけるためにお創めになったのは「陽気ぐらしへのたすけ一条の道」です。この原則を見落としてはならないと思います。そして私たちは、親神様のご守護を頂くための、さまざまな手だてをお教えいただいています。教祖がお望みになっているのは、その手だてを素直に実行すること。それに尽きると思います。
たとえば、おつとめを勤めるというのはどういうことか。おつとめは、決しておつとめのためのおつとめではなく、陽気ぐらしへのたすけ一条の道としてのおつとめです。教祖から教えていただいたことのすべては、陽気ぐらしに通じているのです。
私たちの使命は、この道を自ら信仰するとともに、人にも同様に歩んでもらえるようお伝えすることです。お道を通らせてもらうのが一番の幸せへの筋道だということを、自信を持って相手に伝えていきたいものです。
――最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
教祖の年祭は、陽気ぐらし世界へ向かう一里塚です。年祭の日がゴールではなく、3年間頑張れば、教祖から、次に向けて頑張れるご褒美を頂けるのです。ですから三年千日に全力を注いで、しっかりご褒美を頂いて、また次につなげていく。そうした勇んだ姿を、親神様・教祖にご覧いただきたいと思います。
この旬を生かすかどうかは、すべて自分次第です。全教が心の向きをそろえ、教祖の親心にお応えする歩みを、一手一つに進めましょう。