“天理野球”初のプロ野球監督に就任 – 福岡ソフトバンクホークス監督 藤本博史さん
天理高での経験を糧に明るく元気なチームへ
天理高校野球部OBの藤本博史さん(58歳)が、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの新監督に就任することが昨年10月末に発表された。天理高時代には、持ち前の長打力を生かして甲子園ベスト4入りに貢献。ドラフト指名を受け南海ホークス(当時)に入団すると、福岡ダイエーホークス(当時)時代には史上42人目となるサイクル安打を達成するなど活躍した。現役引退後は、福岡ソフトバンクホークスの2軍・1軍打撃コーチや3軍・2軍監督などを歴任。現在、1軍監督として初の春季キャンプでチームの指揮を執っている。“天理野球”初のプロ野球1軍監督となった藤本さんに、天理高時代の思い出や新監督としての抱負などを聞いた。
――天理高野球部時代の思い出を聞かせてください。
天理高校で野球に打ち込み、2年時には夏の甲子園に出場しました。レギュラー9人中7人が2年生だったこともあり、下馬評はあまり高くなかったのですが、清水貢監督(当時)やコーチが「のびのびと野球をするように」と指導してくださったおかげで、思いきってプレーすることができました。最後は私のエラーで負けてしまい、ベスト4という結果でしたが、いい経験をさせてもらえたと思っています。
――プロ野球選手を引退後、コーチとして指導する中で意識してきたことはありますか。
高校時代は、清水監督から事あるごとに「自分の苦手なことを克服するよりも、良いところをどんどん伸ばしなさい」と声をかけてもらいました。私の長所は長打力でしたから、「打球を100メートル飛ばす選手がいるとしたら、自分は120メートル飛ばすんだ」と練習に励みました。また、打席に立つときの心構えとして、「10回中3回ヒットを打てば、打率は3割になる」と、ポジティブに捉えることで迷いなくバットを振ることができました。
何ごとも良い方向に考えて長所を伸ばすことが大切だと実感したので、いまも選手たちを指導する際に、そう伝えています。
天理出身の選手はあいさつができる
――天理出身のプロ野球選手が他球団で活躍しています。彼らとの接点はありますか。
近年では、東京ヤクルトスワローズの西浦直亨選手、千葉ロッテマリーンズの中村奨吾選手、オリックス・バファローズの太田椋選手が活躍しており、今年は北海道日本ハムファイターズに達孝太投手が入りましたね。顔を合わせたことのある選手もいますが、皆しっかりとあいさつができる。あいさつはプロ野球でも基本ですから、さすが天理高校出身だなと感心しています。
どの選手も、自分が思うことをまず思いきってやってみてほしいと思います。現役時代、私も当時のコーチとコミュニケーションを密にしながら技術を磨きました。疑問のある状態では技術はなかなか身につかないので、まずは分からないことをなくすことが大事だと思います。
――新監督としての抱負をお聞かせください。
天理高校で培った経験を糧に、福岡ソフトバンクホークスをもっと明るく元気なチームにしていきたいと考えています。若い選手たちが先輩選手の明るい雰囲気を引き継ぎ、ひいては「野球で先輩を超えるんだ」くらいの気概を持って、のびのびとプレーできるようにチームを盛り上げていけたらと思います。
――最後に、天理の野球ファンにメッセージを。
天理高校で甲子園に出場し、その後、南海、ダイエー、ソフトバンクと野球人生を過ごす中で、大変なときもありましたが、自分なりに一生懸命取り組み、乗り越えることができたと思っています。
天理高校の球児たちや天理の野球ファンの皆さまも、何ごとも一つひとつ乗り越えていけば、きっと成功をつかめると思います。
プロフィール
【ふじもと・ひろし】
1963年、大阪府生まれ。天理高2年時、「全国高校野球選手権大会」に4番バッターとして出場し、持ち前の長打力でチームのベスト4進出に貢献した。
82年、同級生の川本和宏選手と共に南海ホークスに入団した。福岡ダイエーホークス時代には主にクリーンアップとして起用され、90年の日ハム戦で史上42人目のサイクル安打を達成。95年には、得点圏打率でパ・リーグトップの3割9分1厘を記録するなど活躍した。
98年、オリックス・ブルーウェーブ(当時)へ移籍し、同年に現役引退。その後、J SPORTS野球解説者、西日本スポーツ野球評論家を務めた。
2011年から福岡ソフトバンクホークスの2軍・1軍打撃コーチ、3軍・2軍監督を歴任。21年10月、工藤公康・同球団前監督の後任として1軍監督就任が発表された。
下記URLから、藤本さんが天理高在学時の野球部の過去記事をご覧いただけます。
https://doyusha.jp/jiho-plus/pdf/20220216_tenspo.pdf
関係者の声
うれしく誇らしいこと
天理高野球部OB会長 高山仁さん(64歳・天理市)
天理高硬式野球部OBから、初めてのプロ野球チームの監督に就任され、誠におめでとうございます。同部OB・OGや現役選手はもちろんですが、全国の信者の方々も、うれしく誇らしく思っておられることでしょう。
今後も、天理高で培った経験を糧に、ご活躍くださることを心からお祈りしております。