話題を追って – 静岡の市川勝己さん
図書の寄贈40年
小学校に2,000冊
児童向けの図書を母校の小学校へ長年寄贈してきた市川勝己さん(80歳・新龍東分教会新一龍布教所長・磐田市)は先ごろ、活動40年の節目を記念して、新たに40冊を贈った。これまでに市川さんが寄贈してきた図書は約2,000冊に上る。通学路での交通指導などにも携わる市川さんは、「小さな『ありがとう』の連鎖が陽気ぐらしにつながる」との思いで活動を続けている。
小さな「ありがとう」の連鎖
地域の子供に伝える恩返し
「地域の子供たちには、心豊かに育ってほしい」
8月を除く毎月、40年にわたり約5冊の図書を寄贈してきた。その根底には、父親が戦死し、女手一つで育てられるなか、お世話になった学校や地域の人に恩返しをしたいとの思いがある。
児童の喜びが自身の喜び
理髪店を営む市川さん。ある日、近くの小学校の卒業生が母校に100万円を寄付した話を聞いた。そのとき「私も母校に恩返しができないか」と、図書の寄贈を思いついた。早速、自宅にある本を寄贈し、その後は新刊本を購入して贈るようになった。
数年後、図書室に市川さんの名を冠した「市川文庫」が設けられると、児童から“天理教おじさん”の愛称で親しまれるように。さらに、通学路の交通指導員も務めるようになった。
また、地域の環境保全活動に貢献。『天理時報』の手配りひのきしんにも勤しんでいる。
「恩返しのつもりだったが、児童が喜んでくれることが、私自身の喜びの源になっていった」
活動40年の節目を迎えた1月、図鑑など40冊をまとめて寄贈した。この日は、渡部修・磐田市長(当時)からの感謝状や、児童代表からも感謝の言葉が贈られた。この様子は地元紙などで取り上げられた。
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朝早くから交通指導に立つ市川さんは、児童たちに「ありがとう」と声をかける。児童の一人が「どうして、おじさんがありがとうって言うの」と尋ねた。「みんなが元気に学校へ通う姿を見て、おじさんはいつも元気をもらっているんだよ。だから『ありがとう』なんだよ」と、市川さんは優しく語りかける。
「小さな『ありがとう』の連鎖が陽気ぐらしにつながると思う。それを少しでも子供たちに伝えられるように、これからも私なりのご恩返しを続けたい」
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なお、市川さんの地域活動などを報じた過去の本紙記事を、こちらから閲覧できる。