被災地の要請受け4次にわたり出動 – 災救隊福島教区隊
2023・11/8号を見る
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既報の通り、災害救援ひのきしん隊(=災救隊、橋本武長本部長)福島教区隊(荒井弘徳隊長)は9月、台風13号の影響により九つの河川が越水し、1,200棟を超える住宅が床上浸水した福島県いわき市へ出動。同月12日から20日にかけて、第1次隊が各地で復旧作業に取り組んだ。こうしたなか、被災現場のさらなるニーズ拡大を受け、同教区隊では10月11日から13日にかけて第2次隊、17日から19日にかけて第3次隊、30日から31日にかけては第4次隊を被災地へ向かわせた。現地入りした隊員たちは、民家に流入した土砂の撤去作業や“災害ごみ”の搬出などに力を尽くした。
9月8日夜、台風13号の影響で県内初の「線状降水帯」が発生した福島県いわき市では、断続的な大雨により、床上・床下浸水や土砂崩れなど甚大な被害に見舞われた。以後、懸命な復旧作業が進められるなか、被災した住民から寄せられるニーズに対する人手不足が深刻化していた。
こうしたなか、いち早く被害状況を把握し、同市社会福祉協議会の職員らと今後の対応について協議を進めてきた福島教区隊は、市災害ボランティアセンターの要請を受け、9月12日から20日にかけて第1次隊が出動。その後、同市社会福祉協議会事務局長の篠原洋貴さん(49歳)から、「どうか引き続き災救隊の皆さんの力を貸していただきたい」と直接申し入れがあり、10月11日から31日にかけて、さらに3次にわたる出動を決めた。
11日、第2次隊として現地入りした隊員たちは、河川の越水で1㍍を超える高さの水が民家へ押し寄せた内郷内町や、土砂崩れが多く発生した遠野町へ。一般のボランティアでは対応が難しいと判断された両町の被災現場で、泥まみれになった家電製品などの“災害ごみ”の搬出や、床下に溜まった泥の撤去、建物の周りに堆積した土砂の運び出しなどに当たった。
また、17日から19日にかけて出動した第3次隊は、両町と内郷白水町の住民のニーズに応えて復旧作業に従事した。
その一つ、70代の女性が一人で暮らす民家では、豪雨の影響で農業用の水路が越水し、大量の土砂が畑に流入。民家から土砂の回収地点に至る道は車が通れないため、一般のボランティアでは復旧活動を進めるのが困難になっていた。
こうしたなか、現場に到着した隊員たちは早速、土砂の撤去作業に着手。スコップで掘り出した土砂を一輪車に積み込んだ後、回収地点まで人力で運び出した。作業を間近で見守っていた住人の女性は「復旧に向けて前へ進もうにも、自分一人ではどうしようもできない状況に、精神的にふさぎ込んでしまった。災救隊の皆さんには、大変な作業を嫌な顔一つせず、あっという間に終えていただき、本当に感謝している」と話した。
さらに、30日から31日にかけて出動した第4次隊は、内郷内町と内郷白水町の民家で、床下の泥出しや流木の撤去などに汗を流した。
篠原さんは「一般ボランティアや業者の方々にはお願いできない“特殊な現場”が表面化する中で、災救隊の皆さんには安心して相談することができた。4次にわたって真摯に復旧作業に取り組んでくださり、本当にありがたかった」と述べた。
荒井隊長(43歳・安達分教会長)は「復旧への道のりが険しいなか、福島教区隊の救援活動に、より多くの住民の皆さんが喜んでくださったことが何よりうれしい。災救隊が長期にわたって出動できるのは、隊員の協力があってこそ。今回も、それぞれの都合をつけて多くの隊員が駆けつけてくれて感謝している」と語った。
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なお、第2次隊から第4次隊にかけて延べ112人が出動。同市内の14件の現場で復旧作業に当たった。