時報歌壇(2024年5月29日号) – 植田珠實選
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かぐらうた亡き真柱の声まつすぐに透き通り桜のぢばに
伊勢市 宇佐美正治
ハーモニカを歌壇会にて奏でたるバッハの曲と共に召されて
福山市 藤井光子
ありがたい、もったいないとよろこびのことば遺して先生逝きぬ
高槻市 石田たまの
何も彼も飛び散った地震の夜キャンプのような食事となりけり
石川県 岩城康徳
老杉の根をのぼりゆく水の音耳つけて聞くいのちの響き
呉市 月原光政
こんなにも横文字使う世の中に「搾乳」をする娘の背中
所沢市 岡田陽一
白き峰つづいて知床岬まで流氷の海に突き刺さりおり
旭川市 笠井博美
ふと見上げれば母とよく似た雲が「空見て暮らせ」と言っているよう
宇佐市 三好秋美
生きていく出会いと別れくりかえし淋しさ耐えて人は生きゆく
京都市 寺澤幸子
いづこより吹き来る風よさくら花 はなびら舞いて白き路の上
八尾市 伏田和子
カモシカとしばし目の合う春の庭 熊が出なくてほっとするなり
秋田市 高橋重雄
白雲よ何が見えるか見てきたか我が故郷の過疎地荒れてか
日立市 高岡とみえ
痛む背をさすりくれたるナースの手そのぬくもりは母かと思う
甲賀市 岨中幸男
若くして美しき面もて夫逝きぬ旅立ちの日を吾娘はくずれり
生駒市 栄嶋享永
乳飲み子を抱けばふわっとほほ笑みてぶわっと重く元気をもらう
川崎市 酒井笑子
選者詠
ふぶきゐるさくらのなかをハーモニカ
吹きつつ宇佐美先生旅立つ
【評】時報歌壇の大切な方が出直されました。我々は宇佐美正治先生の温かいお心をいつまでも大切にして歌を詠んでまいります。本当に長い間、ありがとうございました。
次回は、8月までの到着分から選歌。投稿は短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
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天理郵便局私書箱30号「時報歌壇」係
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