時報俳壇(2024年5月29日号) – ふじもと よしこ選
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ときめきを求めて暮らす夏隣
名古屋市 伊園三郎
棟上げの槌音高し桜舞う
柳井市 冨山栄子
麗かや飛行機雲のほどけゆく
横浜市 及川秀代
降り立ちて囀り聞こゆ無人駅
和歌山市 西澤喜久治
春宵の市電迎へる橋灯り
広島市 田中典子
夕東風や吹けば音出る瓶の口
近江八幡市 若林白扇
おぼろ夜に二十四節気認める
東京都 廣瀬智恵
記録づくめ大阪場所の尊富士
横浜市 番家達也
卒寿の花そして白寿の平和かな
堺市 加藤恵秋
百年の母校最後の卒業歌
札幌市 田森つとむ
霾を散らすよろこび大合唱
門真市 傳石敏治
風光るおやの言葉はぢばみやげ
二戸市 高屋敷節子
少年会おつとめ凛と風光る
観音寺市 川上隆子
春落葉神宮杜のひのきしん
東京都 大矢典子
春風にかがやく十九みちのだい
京都市 下條やすよ
半島を西の端まで風光る
愛媛県 中山富貴
夜は夜のさくらの彩や咲き誇る
豊川市 菊地美智代
春の雪分身となる杖持ちて
滝川市 家納千世子
子に孫に咲かせ続けしチューリップ
今治市 仙波絹子
山の野の幸や虎杖夕の膳
いなべ市 筒井みつ江
出合ひより別れが多し春の雨
市川市 小松富子
春宵や本の香りに君想う
北九州市 松下澄子
やかた越し枝垂桜に朝日差す
東京都 長嶋眞一
初席に孫に手引かれ賀寿の春
北九州市 林依司子
同窓と古希なりし春応援歌
東海市 佐野ひろ子
花吹雪集めて陽気ひのきしん
奈良市 岡 千裕
満開の天理桜を拝したし
東京都 菊地孝雄
選者詠
山桜棚田下りゆく媼の背
【評】
伊園さん
平穏な日々に感謝しつつ、何か「ときめき」を見つけての生活が一番。夏近し。期待のふくらむ作者です。
冨山さん
上棟式の活気ある槌の音が四方に響いています。桜も喝采の花吹雪で祝ぐ、美しい風景です。
及川さん
青空にくっきりと残る飛行機雲が、柔らかく解けてゆく。それを見る作者の心も麗かなのです。
次回は、8月までの到着分から選句。投稿は夏の季語(5、6、7月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
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