天理時報オンライン

笑うて泣いてまた笑て 妹尾和夫のしゃべくりエッセー


関西を中心に活動している劇団「パロディ・フライ」を主宰する演出家・俳優で、ラジオやテレビでも活躍中のパーソナリティー・妹尾和夫さんは、天理中学・天理高校を卒業後、日本大学の学生時代に演劇を始め、間もなく芸能生活半世紀を迎えます。

そんな妹尾さんのエッセー集『笑うて泣いてまた笑て――妹尾和夫のしゃべくりエッセー』が、このほど出版されました。この本では、映画・ドラマの撮影現場や、ラジオ・テレビの番組で出会った著名人の話をはじめ、青春時代の思い出、幼い日の記憶など、心温まるエピソードが軽妙な語り口でつづられています。

そのなかから、月曜日から金曜日まで4時間20分の生放送をしていたラジオ番組『全力投球!! 妹尾和夫です』で起こった“事件”を紹介します。

生放送“校歌”熱唱事件?

あれは番組が始まって翌年の夏、母校の天理高校野球部が甲子園に出場しました。僕が天理高校出身だと知っていた番組プロデューサーから「応援に行きまんのか?」と尋ねられ、「行けるときは行きますよ」と返すと、「校歌、歌えまんのか?」と聞いてきたのです。もちろん「歌えます」と答えました。

で、天理高校が1回戦を勝った翌日の放送。高校野球の試合結果を報告していると、イヤホン越しにプロデューサーが「校歌、ホンマに歌えまんのか?」と聞いてきました。生放送中にもかかわらずです。

「歌えますって」「歌てみなはれ」「歌ってええの?」

とやりとりをするうちに、ジャーンと天理高校の校歌(『天理教青年会々歌』)のカラオケが流れてきました。仕方ないから僕も腹をくくって、

〽見よ空高く輝くひかり 天理のみおやの導くところ……

と声高らかに歌ったのです。

これが世に言う(?)「生放送校歌“全力熱唱”事件」です。放送直後、近畿2府4県はもちろん、四国、岡山の同級生や教会長さん、そして僕を知らないお道(天理教のこと)の人から、思いも寄らない反響を頂きました。

「ものすごい勇気をもらった」「涙が止まらなかった」といったお便りもたくさん頂戴しました。

ラジオの仕事でも、特定の宗教の話題にふれるのはタブーです。校歌を歌った後は「大丈夫やろか」との不安も、正直言ってありました。でも、それ以上に、「お世話になった方々に、ちょっとは恩返しができたかな」という気持ちでしたね。

この一件から、僕は天理で過ごした青春時代のエピソードなど、バンバン話をさせていただくようになりました。高校時代は「信仰は自由だ」と言って、あれやこれやと反発していた人間でしたが、一昨年の母校の同窓会で、仲間からこう言われたんです。

「おまえは学校で一番反発していたけれど、一番天理の名前を広めてくれた」


9月1日発売
定価1,430円(本体1,300円)
四六判並製/224ページ

生まれは大阪・大正区。
中学・高校を天理で過ごし、教師めざして上京するも、役者になって大阪へ。
芸能生活45年、多くの出会いに感謝を込めて、ラジオにテレビに舞台にと、

今日も明日も全力投球!!

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