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相撲のおかげで、いまの自分がある。それが自分のすべてです – 照ノ富士 大相撲・横綱


17歳でモンゴルから相撲留学し、23歳で大関に昇進するも、ケガや病気で幕下・序二段まで陥落。そこから奇跡の復活を遂げた、第73代横綱「照ノ富士」。新横綱として迎えた今年の9月場所では、2場所ぶり5度目の優勝を果たしました。

「すきっとした気分で暮らすために」をコンセプトに、さまざまな分野の第一線で活躍する人々の生き方・考え方を紹介する雑誌『すきっと』の最新号から、そんな照ノ富士関へのインタビューの一部を紹介します。

すきっと Vol.37 STEP BY STEP(ステップ バイ ステップ)

幕下まで落ちて、もう一回頑張ってみようという気持ちになったときに、「よし、一日のうち二十四時間、相撲に取り組もう。全部賭けてみよう」と思ったんです。

たとえば、朝は朝稽古のために起床時間を決める。稽古は惰性でこなすことのないよう、しっかり目的を持ってやる。筋力トレーニングも自分の悪い所の修正、弱い所の強化など、必要なことを明確にして筋肉をつくっていく。夜も同様に、きちんと目的を持ったトレーニングメニューをこなしていく。そうやって毎日繰り返していると、だんだん癖になってきて、相撲がどんどん好きになっていきました。

これまでは身体を鍛えることばかり意識して、心の鍛錬が追いついていなかったように思います。

幕下に落ちたときは、「なんでこうなっちゃうんだ」と、自分を責めてばかりいました。気持ちが悪い方向に向いていたように思います。

大関から序二段に下がったことは、一見、マイナスに思えるかもしれません。しかし振り返ってみると、プラスになったことのほうが多いように思います。いまは、どんなことでもプラスに捉えられるよう、いつも心がけています。

「強くなりたい」「親や親方、周りの人たちへ恩返ししたい」との思いで、必死に稽古をしてきました。これからもその気持ちを持ち続け、一日一日を必死に、大事に積み重ねていきたいと思います。

自分はこうして、親方や女将さんに育てていただいて、みんなと稽古をしてきたおかげで、相撲は強くなったかもしれません。でも、偉くなったわけじゃない。そう思うんです。

自分は、丁髷を落とせば普通の人です。社会のことは何も分かりません。相撲しかできない。そういうことは忘れてはいけないと思っています。

相撲のおかげで、いまの自分がある。それが自分のすべてなんだと思います。お相撲さんは、そうじゃなきゃいけないと自分は思っています。


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