道に迷いそうなときこそ – 視点
7月は異例の早さの梅雨明けとなり、まとまった降雨がないまま猛暑が続き、一時は水不足が懸念された。一方で、線状降水帯やゲリラ豪雨といった局所的な大雨の被害や影響を受けている地域もある。
熱中症による体調不良を訴える人や救急搬送も増加し、さらには新型コロナウイルスの第7波と見られる感染の急拡大で、医療の逼迫が懸念されている。
また、先行きの見えないウクライナ情勢もあり、電気やガソリンなどのエネルギー価格の高騰、小麦など食料品の相次ぐ値上げも家計を圧迫している。
猛暑や大雨、熱中症など気候変動に関わる事柄、国際情勢の急変によるエネルギー価格や消費者物価の問題など、いずれのニュースも、国の内外を問わず多くの人々の生活に影響するものばかりだ。現代社会はそれほどまでに、複雑に影響し合っていることを思い知らされる。
こうした社会において、国連は持続可能な開発目標「SDGs : Sustainable Development Goals」として17の目標ゴールを掲げ、その取り組みを世界各国に強く促している。
国連の目標が、なぜ世界の人々の生活に関連するのか。それは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを明示しているからだ。貧困をなくす、すべての人に健康と福祉を提供するという目標もあれば、気候変動対策や海を守る目標もあり、私たちの生活に結びつかない事項は何一つない。企業活動としてすでに取り組んでいることが、いずれかのSDGs目標に貢献していれば、自社の経営内容の強みを知るきっかけともなり得る。
人間の住まいする地球環境は「神の懐」であり、その守護による気象や自然現象は複雑に影響し合っている。また、遠く離れた国の情勢も、日常生活に直接影響するほど密接に絡み合っている。
SDGsの17の目標ゴールのさらに向こうにある「陽気ぐらし」という最大・最終の目標を目指し、国を超え、足並みをそろえて進むならば、異常気象もエネルギー問題も国際情勢も、あらゆる人類の課題は解決に向かうであろう。
人々が道に迷いそうなときこそ、この教えは確かな道しるべとなる。混迷を深める今こそ、お道の真価が発揮されるときだと肝に銘じたい。
(早渕)