世界大学クライミングでV – 天理大 西田秀聖選手
天理大学の西田秀聖選手(2年・下里分教会ようぼく)は、先ごろオーストリア・インスブルックで行われた「FISU世界大学スポーツクライミング選手権2022」に出場し、リード男子の部で金メダルを獲得した。
スポーツクライミングは、ホールドと呼ばれる突起物に手や足をかけて人工壁を登る競技。ルートで何通り登れたかを競う「ボルダリング」、登った壁の高さを競う「リード」、登りきる速さを競う「スピード」の3種目がある。
小学3年のときスポーツクライミングを始めた西田選手。以来、世界一を目標にトレーニングを続けてきた。
リード種目を得意とし、天理高校時代には「IFSCクライミング・ワールドカップブリアンソン」や「リードジャパンカップ」で優勝するなど、国内外のシニアの大会でタイトルを獲得してきた。
現在、スポーツの指導法を習得するため天理大学体育学部で学びながら、週に4日、奈良と大阪のクライミングジムで汗を流している。「『スポーツコンディショニング論』の授業がきっかけで、シーズン中とオフシーズンそれぞれのトレーニング方法を大きく見直した」と話す。
今大会、日本からはスポーツクライミングの3種目において一定の選考基準を満たした大学生の男女17人が出場した。
リード男子に出場した西田選手は、予選から上位をキープするものの、準決勝では3位通過。「勝てるとは思っていなかった」と振り返るが、決勝では序盤から着実に高度を上げ、完登へあとわずかという所まで迫り、大学生の世界一に輝いた。
西田選手は「けがもあって、十分な練習ができなかったので、大きな大会で優勝できたことに正直言って驚いた。時間が経つにつれて実感が湧いてきて、今は喜びいっぱい。スポーツクライミングは自分との勝負であり、これまでのトレーニングでどれくらい世界に通用するのか、自分が今どの立ち位置にいるのかを知ったことが、この大会で得た最も大きな財産だと思う。スポーツクライミングは、完登できたときの達成感はもちろんだが、戦略を考えている時間も楽しいので、多くの人に興味を持ってもらえたらうれしい」と話している。