息子の“活字嫌い”どうすれば?- 人生相談
Q. 中学1年生の息子の“活字嫌い”に悩んでいます。読解力や論理力が低いため、勉強面や会話面で苦労しているようです。読書の習慣が身につくように、環境づくりに力を入れましたが、余計“活字嫌い”になってしまいました。(40代女性)
A. 子育てに環境づくりは大切です。その際、何を与えるかは重要ですが、それ以上に、どのように与えるかが大事です。
10年前、オランダの国立美術館で見た光景は、今も私の目に焼きついています。ある親子が大きな絵画の前で床に座っていました。母親の膝にいる幼児が絵画を見上げて、あちこち指さしています。それに母親が一つひとつ応えて、話をしていました。長い時間でした。親子の楽しげな時間と空間に見えました。
親は子に大切なこと、好きなことを与えようとしますが、最初はそれが楽しいことであることが大事です。今からでも図鑑、漫画、絵本、地図などを使い、お菓子を食べながら親子の“楽しい時間”をつくってはどうでしょうか。
しかし、これまでの努力にもかかわらず、息子さんの勉強面や会話面で苦労が多いことは、単に活字の好き嫌いだけではない別の問題があるのかもしれません。一度、専門家に診てもらうことをお勧めします。学校の担任や教育相談の先生に相談してみてください。
親がわが子に望むこととして、苦手なことを克服させて平均的な人を目指すのも結構ですが、好きなことを伸ばして、「僕にはこれがある」と思えるものを持てば、生き生きと楽しい人生を歩んでくれると思います。
回答者:古市俊郎(福之泉分教会長・公認心理師)