新春歌壇 – 植田珠實選
厳かのかぐらてをどり横隔膜を震はせ唱ふあらたまの春
伊勢原市 宇佐美正治
この年は我の生まれし兎年 元気に歩き飛び跳ねる年
福山市 藤井光子
佳きことのありてピアスの穴あける 八十三歳の春はかろやか
高槻市 石田たまの
マフラーをまとひコンゴの教友は元旦祭に深くぬかづく
石川県 岩城康徳
雪道を自転車にのるわれ老いて新年号の時報を配る
秋田市 高橋重雄
生かされて今年も無事に生かされて誰かの役にたちたく祈る
日立市 高岡とみえ
人のため小さきことでもひと隅に照らす光を誓う元旦
呉市 月原光政
小児がんの子らにウィッグを作ると言い子は新春より髪を伸ばしぬ
伊勢市 久保眞二
病室の窓から仰ぐ冬空に星は瞬き月に祈りぬ
福岡市 山口巳津夫
姑ゆづりの蓮の白煮の出来栄えを噛めば卒寿の内耳に響む
東村山市 加藤八重子
温かき言葉が生まれるかもしれぬ湯気立つ雑煮を二人で吹けば
天理市 川北昭代
今年こそよろこび上手と誓うわれ 本当かねとにらみたる猫
宇佐市 三好秋美
教会へ運ぶ新米を軽トラに勇んで息子は積み込みており
玉野市 藤原良用
月十日不在の妻と老齢の命ねぎらふ初春共に
秋田市 鎌田正男
リハビリで希望の光みえてきた自分ひとりで起きれる嬉しさ
所沢市 三上理恵子
新春選者詠
兎の年の母は抱くらむ兎の年の
皐月の風のつれくる曾孫
次回は、1月末までの到着分から選歌。投稿は短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686天理郵便局私書箱30号
「時報歌壇」係
Eメール[email protected]