あの夏休みの経験が… – 心に効くおはなし
昭和33年の夏、小学1年生だった僕は、家の前の路地で三角ベースの野球をしていて、通りかかった八百屋さんのオート三輪にぶつかりました。ところが、その八百屋さん、倒れている僕のことに気づかず、そのまま僕の上を走り抜けていったのです。
事故から3カ月後に退院しましたが、その1年後、2年生の夏休みに、左肘の再手術で大阪市内の病院に入院しました。
小児病棟の大部屋で2カ月間過ごしました。僕のほかは、年上のお兄ちゃんばかり。お兄ちゃんたちは、当時で言う「小児まひ」を患っていて、自分一人では思うように体が動かせませんでした。
僕は病室の外へ行って、お兄ちゃんたちに「今日、庭にこんな花が咲いてたで」と、見てきたことを面白おかしく伝えるようになりました。お兄ちゃんたちも、僕の話を喜んで聞いてくれるので、それからは毎日のように、ネタ探しに外へ出かけました。それが、いまの僕の仕事の原点になっているんです。
事故で入院したとき、当時、教会長だった祖父が北海道から駆けつけ、毎日おさづけ(病む人の回復を祈念するもの)を取り次いでくれました。両親には「親神様・教祖が、この子を必要と思われるなら命をつないでくださる」と諭したそうです。
だから「こうやって尊い命をつないでもらえたんだから、精いっぱい生きよう」と思い、当時のことを忘れずに日々を過ごしています。