大和平野に鴎が飛んでいた!? – 山の辺の道 心の景
早朝の大和平野。山の端から日が昇ると、辺り一面が黄金色に染まる。時折、吹き渡る風に、たわわに実った稲穂が波のようにそよぐ。まさに“豊饒の海”だ。
実際、ここはかつて湖の底だったという。いまから1900万年前、それまで氷河期だった地球の温暖化が進み、海面が上昇。大和盆地には縄文時代の終わりごろまで、大きな湖があったそうだ。
日本最古の道「山の辺の道」は、その湖岸線に沿ってできたので、曲がりくねっているのだとか。これらの知見は、「環境考古学」という分野の研究成果だそうだ。
『万葉集』に、舒明天皇のこんな歌がある。
「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立つ立つ 海原は 鴎立つ立つ(後略)」
長年、この海原と鴎の情景も想像によるものとされてきたが、鷗は作者の目の前を本当に飛んでいたのかもしれない。
(J)
インスタグラム「山の辺の道 心の景」
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