天理時報2021年1月1日号2面
新春特集夢に描く未来へ新世代の”はたらく”ようぼくたち信仰を心の支えに若人は高みをめざす伝統工芸から最先端の科学技術まで、さまざまな分野で夢を描き、高みを目指す、新世代の”はたらく”ようぼくたち。胸に抱く憧れから希望の業界に入り、時に挫折を経験しながらも、信仰を心の支えに未来へ踏み出す若人10人を紹介する。(文中、敬称略)世界と新分野を舞台に「芸術作品は、見る人に元気や勇気を与える力がある」オーストリア・ウィーン在住の榎本ひさ(33歳・飛鳥分教会教人)は芸術家。東京の創形美術学校を経て、ウィーンの国立美術アカデミーで抽象画を学んだ。卒業後は現地にアトリエを構え、絵画やオブジェを制作するなか、昨年8月には日本人芸術家でグループ展を開催。「お「ふでさき」の「をなじきのねへとゑだとの事ならバゑたハをれくるねハさかいでる」(三号器)から着想を得たという「根」をイメージしたオブジェを約2カ月かけて作り上げた。自ら芸術作品を手がける一方で、困難を抱える人たちに手を差し伸べる。1年前から、東日本大震災の被災地を支援する「鯉のぼりプロジェクト」に着手。ウィーンと東北でそれぞれワークショップを開き、制作した鯉のぼりを互いに贈り合ったところ、東北の参加者から「応援してくれる人々の存在を感じ、大きく支えられた」と謝辞を寄せられた。こうした取り組みは現在、シリア難民の子供たちを支援する活動へと発展。トルコ南部を会場とする同様のワークショップでは、ある子供が描いた鮮やかな水色の鯉が印象に残った。「心理的背景からか、土っぽいような暗い色を使う子も少なくない中で、ワークショップを通じて少しでも明るいイメージを持ってくれたのかな」と話す。このとき合作した巨大鯉のぼりは、制作した子供たちへの寄付を募るチャリティー展はもとより、ウィーンでの各種イベントでも展示している。今後は、町おこしの一環として、出身地・三重県熊野市でのプロジェクトも計画中だ。「いまの創作環境は、陽気ぐらしをするために親神様がお与えくださったものと感じている。これからも新しい表現方法を取り入れながら、見る人たちに喜んでもらえる作品を生み出して「いきたい」「おふでさき」の一首から着想を得た「根」のオブジェと榎本さん。「芸術は見る人に元気を与える」と顕微鏡のプロフェッショナルとして、全国の研究者との共同研究に携わる堤元佐(38歳・熊本大教会ようぼく・愛知県岡崎市)。海洋生物の生態に興味を持ち琉球大学へ進学したが、遺伝子研究の世界的権威である村上和雄・筑波大学名誉教授の著書にふれ、遺伝子スイッチ〟の不思議さに惹かれた。「学生生徒修養会・大学の部」を受講した際に、講演講師を務めた村上氏と初めて面会し、「私を超える科学者になってください」と書き添えられたサインをもらった。その後、北海道大学大学院で村上氏の弟子に当たる教授から、スイッチの役割を果たすタンパク質の動きを可視化できる蛍光顕微鏡について学んだ。タンパク質の大きさは極微の数ナノ。従来の光学顕微鏡では約200ナノまでしか識別できなかったが、研究の末、約500ナノまで解像度を高めた。「細胞など微小なものを実際に見ると、一つひとつが繊細で巧妙なつくりになっており、その美しさに感銘を受ける」海外で出会った研究者からも、「生命の美しさは神業としか思えない」などの声を聞く中で、かしもの・かりもののありがたさをより一層感じているという。目標達成のためには、顕微鏡の識別能力をさらに約10倍高める必要があり、10年以内の達成を目指す。また、各種の共同研究を通じて、医療の発展にも寄与している。「遺伝子スイッチの動態を観察できれば、その先には、多くの人のたすかりがあると期待している。可視化という手法を通じて、人々に神様の存在を感じてもらうきっかけになれば」顕微鏡の開発を通して遺伝子スイッチ”の解明に挑む堤さんアイマツソフト株式会社(東京都千代田区)の代表を務める松井圭(33歳・西新川分教会長後継者・山口県宇部市)は、システムエンジニア(SE)として、モバイルアプリケーションやWebサービスを開発している。大学で建築科へ進学するも、模型作りなどの手先を使った作業が性に合わなかった。一方、講義で学んだプログラミング技術に魅力を感じ、のめり込んでいった。「SEの仕事は、いわば大勢の人間が時間をかけてやってきた作業を、より効率的にする仕組みづくり」。単純作業が苦手な性格にも、ぴったり合った。大手電機メーカーを経て、外資系コンサルティング会社に就職。数々の新規サービス開発を成功させ、2018年に独立開業した。会社には、起業家仲間やその紹介により、多くの依頼が寄せられる。依頼通りの製品を開発するだけでなく、コンサル時代の経験を生かし、依頼主の業態の展望まで考えて提案を加えることも多いという。少数ながら事務スタッフを抱えるなど、会社を着実に成長させている。一方、自らの特技を生かし、少しでもお道の活動に貢献したいと考えてきた。半年前から毎週、近隣の若い教友を対象に、IT人材の育成に取り組む。「効率化することで、多くの時間や人手を生み出せることがⅠTの魅力。お道の活動においても、ITを活用した新たな取り組みを進めていきたい」松井さんは6年のサラリーマン経験を経て独立。幅広い分野のプログラムを開発している赤穂愛(2歳・養誠分教会ようぼく)は、一昨年から外資系の航空会社で客室乗務員として勤めている。中学時代から同職に憧れるなか、天理大学で英米語を専攻。名古屋市内のホテル勤務を経て、ワーキングホリデーを利用してカナダ・バンクーバーへ渡った。国際色豊かな土地で多様な価値観を持つ人たちと交流を深めるうちに、あらためてグローバルな仕事に携わりたいとの思いを強くし、夢だった客室乗務員になると決めた。華やかな業界だと思われがちだが、実際は体力勝負。当初は時差に体が慣れず、調子を崩すこともあったという。そんななかも約40カ国へのフライトに搭乗。出発前のブリーフィングで初めて顔を合わせる乗務員らとチームを組み、共に働くことに大きな喜びを感じている。「人種も母国語も違うクルーたちが、お客様の安全で快適な旅をサポートするため、一手一つにたすけ合う。その姿に、いつもワクワクする。お道の信仰者ならではの思いやりの心で、これからも世界の人と人をつないでいきたい」客室乗務員として、世界を飛び回る赤穂さん新春俳壇ふじもとよしこ選ご先祖のよくぞお道に初づとめ横浜市番家天に積む徳こそ大事初御空豊川市菊地美智代初春や神に仕へる身ごしらへ鳥取県野間田芳恵元旦の白き日記に見る未来伊勢市橋本句心を心の糧に年迎ふ明石市石田史枝預りし命の重さ去年今年橿原市東兄米寿弟は喜寿屠蘇祝う札幌市田森つとむ去年今年日参ハガキで理の誓い水戸市富田元旦祭新用木の初づとめ大阪市羽田野靖男去年今年教祖の手足となりぬべし高屋敷節子寒空もいとわず帰るぢばの地に吹田市楓芳雄生かさるる喜び胸に初づとめ名古屋市伊園三郎何事も勇んで掛かる初太鼓奈良県澤井ゆう一美わしや米寿の年の初御空豊岡市柳田侑子初日受く曾孫大地をしかと踏む奈良県松村ヒロ子八十路半ば免許返納年新た高崎市松田セッ子ポリシーを心新に初化粧市川市小松富子逢ひたしと師の賀状待つ五十年今治市仙波絹子琴の音に初春の夢託しいる滝川市家納千世子雅楽の音粛粛として元旦祭東京都坂田鏡介元旦祭袴の紐をぐっと締め秋田市長尾進観客を制限しつつ初芝居東京都吉田柳哲出初式息を忘れる梯子のり千葉県樋渡忍子と孫と動画で年始新時代名張市霧道三明テレワークの帰れぬ子よりお年玉明石市松本和子初暦記す仕事や有り難し門真市傳石敏治福耳の友に出逢えて初笑横須賀市坂本和子蒼映す水面滑るや冬の鳥和歌山市西澤喜久治鏡餅丸き心で助け合い亀山市樋口育夫元旦祭甍の波に初光飯能市今井安治新春選者詠初夢に帰参の溢るぢば選者あいさつ新年明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましても、お健やかに新しい年をお迎えのこととお慶びいたします。昨年はすべてにおいて、自粛という籠りがちの生活でした。おぢばへの帰参もままならず、当然「お「おば俳句会」も中止になりました。あちこちから、「俳句会はありますか」との声に、終息の見えない疫病に間怠い思いの私でした。一方、家庭にいる時間が長くなり、何かに打ち込むことも多くなったせいでしょう。俳壇への投句に揃って参加してくださるご夫妻が3組もあり、それぞれの佳句に大変嬉しく思っています。夫婦互いに助言を請いつつ、良きライバルとして作句をたのしんでおられるのでしょう。睦まじいご夫妻、明るい家庭の明日を思いつつ、たくさんの投句を待っている私です。皆さまにとって良き年でありますよう願うとともに、おぢば俳句会の開催が叶いますように。本年もどうぞよろしくお願いいたします。