天理時報2020年12月13日号2面
視点いま、大学の“リアル”とは今年のコロナ禍は、大学教育の現場にも多大な影響を及ぼした。立地場所や規模で、その対応に差はあったが、当初はいずれの大学も手探り状態だった。まず、それまで当たり前だった授業形態が「対面授業」と呼ばれて実施不可能となった。これは大学教員に混乱をもたらした。通信教育などを除けば、教員の大半は、基本的に対面授業しか経験がなかったからだ。ひと昔前ならば、課題と添削を郵送でやりとりする手段しかなかっただろう。幸い今回は、ICTツールによって「オンライン授業」が可能となった。こうして教員は、対面授業の代わりにオンデマンド型やリアルタイム型と呼ばれる〝遠隔授業〟に取り組むこととなった。実はすでに、ウェブ利用の授業や課題提出のシステムを持つ大学は少なくなかった。しかし多くの教員にとって、それはせいぜい対面授業の補助的ツールか、利用していないかのいずれかだった。ところがコロナ禍により、オンライン授業の技術を短期間に習得する必要に迫られた。それは、これまでと同じ科目であっても、教材を作り直すに等しい作業となった。授業以外にも学生の課外活動が禁止され、大学構内への立ち入りは原則、教職員以外できず、外部とのやりとりはオンライン対応となった。夏休み後は、多くの大学がコロナ対策を徹底しながら、できる限り対面授業に戻している。その背景には、大学構内での予防法が見えてきたことだけでなく、授業や課外活動を含め、オンラインでは本来の“リアル”な大学生活を学生が送れていないという強い危機感がある。リアルな大学が感じられない―――これは、受験生にとっても切実な問題だ。大学情報は各大学のホームページのほか、受験情報サイトや関連雑誌から容易に入手できるが、同時に、オープンキャンパスに訪れ、大学の実際を見て直接感じることが重要視されている。今年度、多くの大学は〝ウェブオープンキャンパス”を実施している。しかし受験生にとっては、大学のリアルな雰囲気や学生の様子が見えにくく、結果として志望動機が高まりにくいことが専門誌で指摘されている(『カレッジマネジメント』では、大学のリアルな姿とは何か。天理大学の場合、夏場の集団感染の発生とその対応が大きな話題となったが、実は年度初めからの遠隔学業への取り組みには、天理大ならではの強みが発揮された。特に注意を注いだのが、入学前の新入生を、いかに大学へと授業へとスムーズに導けるかであった。4月の入学式はもとより、授業登録などのオリエンテーションがすべて中止となった。まずは、このお知らせを徹底しなければならない。全学部の教員が手分けして新入生へ連絡し、以降の大学からの連絡がオンラインで確実に届くようにした。さらに、学生のネット環境や利用可能なデバイス(情報端末)を確認し、授業を受ける学生側の状況把握に努めた。教職員が「学生のために」を共有し、一手一つになって緊急対応したのである。天理大は、全国的に見て教員一人当たりの学生数が約23人と非常に少なく、いわゆる少人数教育〟が魅力とされる。その教育は、数字上だけでなく、一人ひとりの学生に寄り添う、こまやかな教育の質をこそ言うべきであろう。天理大が長年培ってきた、入学から卒業まで学生を親身に指導する教職員の姿が、この窮状で図らずも発揮されたと言えよう。その結果、コロナ禍における大学の優れた対応例と外部から評価された。陽気ぐらし世界建設に寄与する人材を養成することを「建学の精神」に掲げる天理大には、宗教性、国際性、貢献性という揺るぎない軸がある。この軸こそが、天理外国語学校創立以来90余年の良き伝統として、天理大のリアルを創出しているに違いない。(東)「鼓笛お供演奏」一手一つに少年会計63団体800人が参加少年会本部(西田伊作委員長)は9月から11月にかけて、本部神殿南礼拝場前を会場に「特別企画鼓笛お供演奏」を実施した。最終日となる11月2日は、1団体22人が参加。計7日間の中には、6団体77986人の少年会員が参加し、一手一つの演奏を披露した。「立教18年こどもおぢばがえり」は、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため中止を余儀なくされた。その後、社会生活が徐々に平常化しつつあることを受け、少年会本部では「子供たちが演奏する姿を親神様・教祖にご覧いただく機会を設けたい」と、9月から11月までの週末を利用し、特別企画を実施してきた。実施日には、感染防止対策として、マスクの着用や参加者の検温、手指の消毒などを徹底しながら、演奏・演技を行ってきた。おぢば帰りの機会最終日。受付を済ませた少年会員は、東泉水プール前広場での練習後、南礼拝場前へ移動し、「こどもおぢばがえり」のテーマソング『大好きなおぢばへ』を演奏・演技した。この日は真柱様がお出ましになり、少年会員たちの演奏をご覧になった。参加団体の一つ、西陣団弘徳鼓笛隊は少年会員15人が参加。担当者の林智裕さん(48歳・弘徳輝分教会長・京都市)は「久しぶりのおぢばでの演奏に、子供たちは喜んでいた。隊員と共に、おぢば帰りの機会を頂いたことに感謝している」と話した。s宇恵善継・少年会本部鼓笛活動課長は「期間中、少年会員と育成会員が喜びの涙を流す場面を何度も見かけた。今後も子供たちを立派なようぼくへと導けるよう、鼓笛活動を進めていきたい」と語った。最終日の「特別企画鼓笛お供演奏」では、18団体22人の少年会員が一手一つの演奏を披露した(1月2日、本部神殿南礼拝場前で)ほっこり温かな居場所づくり”ルポいま「こども食堂」は新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、各地の教会では感染対策を講じたうえで、さまざまな活動が行われている。その中には、コロナ禍の中にあって〝孤立”しがちな親子に寄り添おうと、「こども食堂」を開く教会も少なくない。ここでは、神戸市の船神分教会のこども食堂「椎野さん家のお昼ごはん」の様子をルポする。神戸市の船神分教会神戸港にほど近い住宅街にある船神分教会(椎野修理会長)で、先ごろ「椎野さん家のお昼ごはん」と銘打った「こども食堂」が開かれた。地域の子供たちに、ほっこり温かな居場所をつくってやりたいと、昨年4月に始まったこの活動。月2回の実施日に寄り集う人々の輪は、老若男女の垣根を越えて少しずつ広がっている。娘の発案を両親が支援開始時刻の正午を過ぎると、教会前にひるがえる黄色い幟を目印に、人々が集まり始める。「どうぞ、空いている席に座ってください」受付で検温と消毒を済ませた参加者に、椎野会長(5歳)が声をかける。食堂内では、ゆとりをもってテーブルが並べられ、屋外には「オープンテラス席も用意された。「こんにちは」「お昼ごはん」を発案した椎野会長の長女・りえさん(25歳・同ようぼく)も、はつらつとした笑顔で受け入れに当たる。学生会活動を通じて互いに認め合える仲間と出会い、〝心の居場所〟を見つけたと言うりえさん。その後、小学校教諭を勤める傍らで「地域の子供たちに、温かい空間でくつろいでもらえる居場所をつくりたい」と思うようになった。椎野会長と母親のひとみさん(33歳・同会長夫人)の賛同を得て、NPO法人「JLC兵庫甲南支部」の名のもとに、昨年4月に第1回を開いた。以後、ホームページやSNSなどを見た地域住民が徐々に寄り合うように。スタッフの輪も広がった。そんななか、今年は新型コロナウイルスの影響で、3月以降の活動の一時休止を余儀なくされた。「その間も、コロナ禍で苦しむ人をたすけたいとの思いがあった」と話すひとみさん。同市の社会福祉協議会と相談のうえ、十分な感染防止対策を講じたうえで7月に再始動した。すると、参加者からは「家に閉じこもる日が続いたが、ここに来ることで気持ちが楽になった」などと喜ぶ声が聞かれた。学習支援も目玉の一つ澄んだ青空が広がったこの日。開始15分も経たないうちに、限られた座席がほぼ埋まった。そんななか、一般ボランティアを含む16人のスタッフが、給仕や子供の世話取りに当たる。ほかにも、屋外では4人のスタッフが弦楽器やピアノを奏で、昼下がりのひと時を優雅に演出した。「おいしい?」スタッフの問いかけに、うなずく子供の前には、朝早くから仕込んだハヤシライスが湯気を立てている。野菜などの主な材料は、フードバンクや地域住民の寄付によるもの。最近では、テイクアウトの事前予約も受け付けているという。「コーヒーを一つ、あちらにお願いします」来場者のピークが過ぎた午後1時半。ひとみさんの指示で、食後の飲み物とデザートが席へ運ばれる。小さい子供3人と参加した30代女性は「雰囲気が良く、子供もいっぱい遊べて「楽しそう」と顔をほころばせた。一方の会場では、食事を終えた子供たちが、キッズコーナーや学習支援コーナで思い思いに時を過ごす。昨年から学生ボランティアとして参加している柴田彩巴さん(神戸女子大学2年)は、「この場所で何度も顔を合わせる子供たちは、いつの間にか友達同士になっているようだ」と話す。机が並べられた学習支援コーナーでは、小学生の女の子の隣で、九九を教えるりえさんの姿があった。「これは難しいかなあ」と優しく話しかけながら、カードに記された計算式を女の子に読み上げさせる。ここでの学習支援も、「お昼ごはん」の目玉の一つだ。「ごちそうさまでした」午後2時すぎ。一人、また一人と家路に就く参加者を、教会家族3人が笑顔で見送る。2時間の「お昼ごはん」の間、約50人が入れ替わりで教会に集まった。時折、参加者から悩みを打ち明けられることがあり、そのときは教えを踏まえてアドバイスすることもあるという。椎野会長は、「今後も、教祖のお導きによって出会う方々を大事にしていきたい」と。りえさんは「人の心が潤い満たされるような〝憩いの場”を目指したい」と話した。文=今村里恵写真・動画=山本暢宏この日、子供たちに提供されたハヤシライス。スタッフの調理風景をはじめ、「お昼ごはん」中のほっこりした空気感を動画で見ることができる青空のもと、椎野会長(右奥中央)、ひとみさん(同右)、りえさん(同左)が参加者と和やかに歓談する和楽本格的な冬となり、暖が欠かせなくなった。過日、知人宅を訪ねた折、赤々と燃える暖炉に目が留まった。至福の暖かさもさることながら、ゆらゆら揺らぐ炎に心を奪われ、しばしその場に居座る。炎の揺らめきに癒やしを感じ、つい時間を忘れて見とれてしまった炎には不思議な癒やしの力がある。人は炎を見つめると、なぜかしら気持ちが落ち着き、心を開く。アウトドアブームの昨今、焚き火のリラックス効果に惹かれる人が増加していると聞く。インターネット上では暖炉の薪が数時間燃え続ける動画が配信され、密かに好評を得ているほどだ。炎が心を開かせる効果を利用し、焚き火を囲んで社員研修を実施する企業もある。かつて筆者も、ロウソクの炎を囲んで語らう機会を持ったことがあるが、不思議とメンバーが心の内を素直に話し始めたことを思い出すなぜ、炎には癒やしや心を開く効果があるのか。人が自然とリラックスできるリズムに、「1/fゆらぎ」なるものがある。それは光や音、振動などに含まれる特別なリズムで、一定のようで予測できない不規則性がある。たとえば炎の揺らぎをはじめ、人の鼓動や小川のせせらぎ、電車のガタンゴトンなどの走行音、静物では木の年輪や木目模様といったものなど。つまり規則的なリズムの中にも、不規則性が混じるゆらぎである。「1/fゆらぎ」にふれると、脳を休ませる効果をもたらすα波が脳内で発生し、それによって心身ともにリラックスするという人は原始時代から火によって暖を取り、灯りを点し、食事を作ってきた。人の営みに欠かせぬ存在だった火には、格別の効果がDNAに刻まれているのかもしれない。暖炉とはいかぬが、今年も愛用の火鉢に火が入った。まだまだ続く「スティホーム」。火の恵みへの感謝も添えながら、炎を見つめて心癒やされたい。(中田)教会長おたすけ相談室■受付専用ダイヤル0743-63-1641天理大学おぢばでともに学び、世界を知る喜び。天理教を世界に広げ、陽気ぐらし世界を実現したい・おばに世界各地から集う仲間たちとともに、信仰の追究に、心ゆくまで没頭することができます。また国際交流の機会が豊富にある環境のなかで、世界の文化や宗教を学ぶ時間は、人生で二度と再び訪れることのない、貴重な4年間。天理大学学長尾教昭