ある夜の山の辺の道 – 山の辺の道 心の景
日の暮れた山の辺の道は、昼間とはまるで別の顔を見せる。写真は環濠集落として知られる天理市萱生町。特にこの日は、夜の帳が下りると家々の白壁がぼうっと浮かび上がり、周囲にある古墳群は黒々として人を寄せつけ・・・
日の暮れた山の辺の道は、昼間とはまるで別の顔を見せる。写真は環濠集落として知られる天理市萱生町。特にこの日は、夜の帳が下りると家々の白壁がぼうっと浮かび上がり、周囲にある古墳群は黒々として人を寄せつけ・・・
日本の国花といえば桜。では、国果は?答えは柿。柿は日本を代表する果実なのだ。しかし、ピンとこない人も多いのでは? 写真は、山の辺の道沿いの柿畑。天理市萱生町が利根早生という品種の発祥の地であることから・・・
早朝の大和平野。山の端から日が昇ると、辺り一面が黄金色に染まる。時折、吹き渡る風に、たわわに実った稲穂が波のようにそよぐ。まさに“豊饒の海”だ。 実際、ここはかつて湖の底だったという。いまから1900・・・
平安時代の著名な歌人に「素性」という法師がいる。三十六歌仙の一人で、現在の天理市布留町にあった良因寺に住んでいた。代表作の一つが『百人一首』の次の歌だ。 今来むと いひしばかりに 長月の有明の月を 待・・・
写真は、ある朝の箸墓古墳。静寂のなか、山の端から徐々に太陽が昇るとともに、空と水面に、光と雲が織りなす不思議な景色が現れた。ふと、天岩戸伝説を思い浮かべた。真っ暗な闇のなかに現れた天照大神は、この太陽・・・
山の辺の道の一部に別ルートがあると聞いて歩いてみた。区間は大神神社から景行天皇陵まで。通常、檜原神社を経由するカーブの多い山際の道を行くが、この日は、景行天皇陵まで田園地帯を真っすぐ進む。 大神神社を・・・
【内容間違いのため非公開】次号でお詫び文掲載 梅雨の山の辺の道。この時季の花の一つに、花菖蒲がある。写真は、景行天皇陵の北側一面に広がる花菖蒲畑だ。 育てているのは、天理高校第二部(定時制)農事部果樹・・・
同僚のカメラマンが「とっておきの一枚」を見せてくれた。見事なミツバツツジが写っている。山の辺の道沿いで古墳を探索中、偶然出くわした光景だという。 「よく近くを通るのに、不思議にも、いままで気づかなかっ・・・
晩春のある日、可憐な花が咲き誇る桃畑を訪ねた。後方に耳成山と畝傍山が見える。 桃にまつわる昔話といえば「桃太郎」。実は、大和に桃太郎生誕の地といわれる場所がある。一般に桃太郎のルーツとされるのは「吉備・・・
うつそみの人にあるわれや明日よりは 二上山を弟背とわが見む (『万葉集』) 「この世に生きる私は、明日から二上山をわが弟と思って過ごすのでしょうか」 古来、神聖な山とされてきた二上山。冒頭は、この山に・・・
写真は、雨に煙る2月の山の辺の道。蝋梅の後方に、靄のかかった龍王山が見える。 昔、この近くに尻懸則長という、評判の刀鍛冶がいた。あるとき、龍王山の麓にある長岳寺の僧が則長に刀を注文した。僧は出来上がり・・・
「この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久」 古来「神宿る山」として崇められてきた三輪山。この山に鎮まる大物主は、国造りの神であり、あらゆるものづくりの神でもあるという。そ・・・
ある冬の夕方、崇神天皇陵を訪ねた。ここから見る夕景は美しい。やがて夕日が空と堀の水面を黄金色に染めて、黒々とした古墳の森を浮かび上がらせた。そのとき、悠々と泳ぐ水鳥の群れを見つけた。 古墳と水鳥には、・・・
ススキが夕日に輝く、秋の山の辺の道。金剛山を背景に、大和三山の畝傍山と耳成山が霞んでいる。手前右側の森は、第12代景行天皇の陵墓だ。 この天皇の名に親しみを覚える人は、歴史ファンでも、そういないだろう・・・
山の辺の道に、腰痛治しのお地蔵さんがあると聞いて訪ねてみた。場所は、柿の産地として有名な天理市萱生町。「舟渡地蔵」という石仏で、こんな昔話が伝わっている。 あるとき、村人たちが溜め池の掻い掘りをしてい・・・
秋の風物詩「彼岸花」には、多くの別名がある。曼殊沙華、龍爪花。ほかに狐の松明、狐花など。狐といえば、童話『ごんぎつね』には、墓地に咲く彼岸花が印象的に描かれている。村人の兵十と狐のごんの切ない物語は、・・・
アニメ映画の巨匠・宮崎駿監督が率いる「スタジオジブリ」のある作品に、『纏向遺跡』という題名の本がさりげなく登場する場面がある。長年、ヤマト王権の中心地、邪馬台国の候補地と目されてきた遺跡だ。 平成21・・・
山の辺の道は、古墳の道でもある。天理から桜井方面へ向かうと、時折、畑に姿を変えた小さな古墳を目にする。さらに進むと、こんもりとした巨大古墳の森が現れる。 まず左手に西殿塚古墳(全長230m)、その先に・・・
梅雨空のなか、山の辺の道を桜井市方面へ向かった。知人から大神神社のササユリが咲いたと聞いて、この目で見に行くことにしたのだ。この花は、同社のご神花として大切に育てられている。 かつては、ご神体の三輪山・・・
風薫る山の辺の道、この季節の風物の一つが「柿若葉」だ。透き通った柔らかな新緑が目にまぶしい。 柿は俳句の季語でお馴染みだが、意外にも『万葉集』には登場しない。とはいえ、日本に自生していたようで、縄文、・・・