職場の育成方針に違和感 – 人生相談
Q. 入社して3年が経つ後輩が、いまだに仕事上のトラブルを頻繁に起こしています。そんな彼に対して、先輩の社員や上司は厳しく指導するどころか、いつも甘やかしてばかりいます。社内の育成方針に納得がいきません。(30代男性)
A. 後輩社員の育成をめぐる考え方が違うのですね。仕事を大切に思うあなたは、先輩や上司の甘い態度に納得できないようです。「社員の扱いは公平に、仕事は主体的に責任を持って取り組むもの」というあなたの考えに反して、先輩や上司は「人には特性や個性があるため、仕事はみんなで協力し、支え合って進めるもの」と捉えているのでしょうか。
その後輩は入社して3年も経つのに、まだトラブルが続いているのなら、この仕事に慣れるのには人一倍時間がかかる人なのでしょう。そういう人にも優しく接することができる会社は、社員を大切にする点で素晴らしいと思います。
仕事覚えの遅い人は要らないといって効率や成果だけを重んじていては、職場に緊張感が漂い、社員は自分の評価ばかり気にして、働く意欲が下がりかねません。また、急な病気や事情で会社を休んだだけで首を切られるのでは、という恐れもあります。それでは安心して働けず、将来も不安です。
会社という集団は、仕事の目的達成機能と集団維持機能の両面から成り立っています。先輩や上司が、その後輩を手厚く育てている背景には、あなたの知らない「何らかの意味」があるのかもしれません。それが何なのか、もうしばらく会社の方針に従って様子を見てはどうでしょうか。
回答者:古市 俊郎(福之泉分教会長・公認心理師)