被災者のニーズに応え – リポート 災救隊石川教区隊(第2次隊)
2023・6/14号を見る
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石川県珠洲市で5月5日、震度6強の地震が発生し、家屋の全半壊、屋根瓦の破損、断水などの被害があった。住宅被害が700棟以上に及ぶ同市では、現在も懸命な復旧作業が続けられている。既報の通り、災害救援ひのきしん隊(=災救隊、橋本武長本部長)石川教区隊(忠谷眞一郎隊長)は、5月19日から21日にかけて第1次隊として活動した。こうしたなか、復旧支援のさらなるニーズ増加に対応すべく、27日から29日にかけて第2次隊が出動し、新潟・福井・富山の近隣3教区隊が応援に駆けつけた。現地入りした隊員たちは、市災害ボランティアセンターの要請を受け、被災家屋12軒のブルーシート張りなどに力を尽くした。
新潟・福井・富山の3教区隊が応援に
最大震度6強を観測した珠洲市。町並みを見渡すと、ブルーシートを掛けた民家が目立つ。
同市は、65歳以上の高齢者の割合が石川県内で最も高く、自力での復旧作業が難しい被災者が少なくない。「梅雨入り前に、損傷した屋根瓦にブルーシートで応急処置を施してほしい」など、被災した住民から寄せられる多くのニーズに対して、復旧作業を担う人手が大幅に不足していた。
こうしたなか、地震発生直後から行政と折衝し、ニーズの調査と初動の救援活動を展開してきた石川教区隊は、ボランティアセンターからの正式要請を受け、5月19日に第1次隊が出動。引き続き、27日から29日にかけて第2次隊の出動を決めた。
また、新潟教区隊(吉澤清人隊長)、福井教区隊(吉長忠司隊長)、富山教区隊(中島正治隊長)は、忠谷隊長(71歳・片山津分教会長)に出動準備が整っている旨を連絡。当日、新潟・富山・福井の各教区隊は、石川教区隊第2次隊の“応援隊”として、県外から駆けつけた教友有志と共に被災地へ赴くことになった。
高所作業に取り組む
活動初日の27日午後零時20分、直分教会(髙堂道幸会長)で石川教区隊第2次隊の結隊式が行われた。
続いて、市災害ボランティアセンターへ移動し、県外から駆けつけた“応援隊”と合流。被災状況や作業内容、高所で作業するうえで必要な安全帯の取り付け方などを隊員間で共有したのち、教区隊ごとに分かれて車で現場へ急行した。
担当の現場に到着すると、直ちに全国で災害ボランティア活動を展開しているNPO法人の職員らと協力し、被災家屋の屋根瓦の補修やブルーシート張りに従事。このほか、使えなくなった家電製品や瓦礫などの“災害ごみ”を搬出した。
翌日も、ボランティアセンターに寄せられる住民の依頼を受け復旧作業に尽力。その一つ、同市飯田町の民家では、地震の強い揺れにより屋根瓦が損傷。深刻な被害に見舞われた。
隊員たちは住人へのあいさつを済ませた後、地下足袋を履いて慎重に屋根へ上り、地震で損傷した屋根瓦を1枚ずつ丹念に補修した。また、雨風に耐えられるように、ロープで要所を固定しながらブルーシートを張っていった。
住人の50代女性は「自力で直そうにも、どうすればいいか分からず途方に暮れていた。災救隊の皆さんは嫌な顔一つせず、丁寧に作業してくださり、本当に助かった」と話す。
29日は、雨天により作業内容が限定されたことから、石川教区隊のみで活動した。
珠洲市社会福祉協議会事務局長の塩井豊さんは「2022年6月に起きた震度6弱の地震の際にも、災救隊の皆さんには厚いご支援を頂戴した。今回も、人手不足が深刻ななか、災救隊の皆さんが真っ先に現地に駆けつけ、一般のボランティアの方々では難しい作業にも対応してくださった。心から感謝している」と謝意を述べた。
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なお、石川教区隊第2次隊と新潟・福井・富山の3教区隊は、27日から29日にかけて延べ104人が出動。被災家屋12軒で救援活動に従事した。
今後も、9日から11日にかけて第3次隊の出動を予定している。
(7日記)
文=久保加津真
写真=根津朝也
災救隊の出動の様子をご覧いただけます。