帰るべくして帰る – 道を楽しむ13
2023・9/13を見る
【AI音声対象記事】
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4年ぶりの開催となった今年の「こどもおぢばがえり」。コロナ禍によるブランクを経て再開されたこともあり、行事の数は以前よりも減り、夜のパレードもなく、どんなものになるかと案じていたが、それは全くの杞憂に過ぎなかった。心のこもった数々の行事は、滞在中に回りきれないほど。親里は子供たちの歓声と鼓笛隊の音色にあふれ、その復活に「こどもおぢばがえり、ようこそおかえり!」と叫びたくなった。
なかでも、思いがけず感激した場面がある。夕づとめへ参拝に行くと、神殿には多くの少年会員が集まっていた。おつとめが始まり、元気いっぱいに唱和する子供たちの声が殿内に響く。この姿をご覧になって、教祖はどれだけ喜んでおられるだろうかと思うと、胸が熱くなった。
過去の「こどもおぢばがえり」でのこと。H君はADHD(注意欠如多動症)で、小学校の支援クラスに通っている。PTAのつながりで、未信仰家庭から妹と共に団参に加わってくれた。出発前に小学校へあいさつに行くと、「かなり手がかかる子ですから大変ですよ」と副校長も心配しておられ、より一層責任を持って引率せねばと気を引き締められた。
おぢばに着き、神殿へ参拝に行ったとき。おつとめを終え教祖殿へ向かおうとしても、H君はなかなか立ち上がらない。「どうした?」と声をかけると、「ここにいると、すごく気持ちが落ち着く」とつぶやいた。「ここは僕たち人間の生まれ故郷だからね。神様が待っていてくださったんだよ」と言うと、こっくりうなずいた。
H君には気分の起伏はあるものの、揉め事の仲裁に入ったり、みんなを笑わせたりする、思いやりのある優しい心の持ち主だった。後日、トラブルなく無事に過ごせたことを小学校へ報告に行くと、副校長は目を丸くして驚き、「おぢばって、素晴らしい所なんですね」とおっしゃった。学校では“問題児”で通っているH君だったが、教祖に導かれ、おぢばの理によって心安らぐ思いに満たされたに違いない。まさに帰るべくして帰らせてもらったのだろう。親御さんも喜んでくださり、それから毎年、H君は兄妹で参加してくれた。
おぢば帰りは、人間がお誘いしているようで、実は教祖にお引き寄せいただいている。あらためて、ぢばの理の尊さが身に染みた。
中田祥浩 花巻分教会長