「外交官養成プロジェクト」から初の合格者 – 天理大学
2023・9/20を見る
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“語学の天理”の伝統生かし第一線へ
2025年に迎える創立100周年へ向けて掲げた「天理大学ビジョン2025」に基づき、現在「外交官養成プロジェクト」を推進している天理大学(永尾比奈夫学長)。このほど、同プロジェクトのメーンプログラムである「外交官養成セミナー」を受講した、同大OBの鴻野直人さん(23歳・東道分教会所属)が、難関の外務省専門職員採用試験を突破。プロジェクトの発足以来、初の合格者が誕生した。“語学の天理”の伝統を受け継ぎ、外交の第一線へ羽ばたく鴻野さんの歩みを紹介する。
“語学の天理”の強みを生かし、これまで外交官や在外公館派遣員、海外関連の企業など、世界で活躍する人材を数多く輩出してきた天理大学。同大が5年前に立ち上げた「外交官養成プロジェクト」は、メーンプログラムである「外交官養成セミナー」の受講を通じて、外務省専門職員採用試験に合格し、外交官として世界で活躍する人材の育成を目指すもの。
同セミナーでは、少人数による語学教育の伝統を生かし、語学アドバイザーによる定期的な語学レッスンをはじめ、国際法や国際情勢など、外交の現場で働くために必要な知識を学習。また、同大OBの現役外交官との交流や外務省の見学を行う「東京合宿」を実施するなど、実際の職務について理解を深めるプログラムを提供している。
世界との“懸け橋”に
このたび外務省専門職員採用試験を突破し、外交官としての一歩を踏み出した鴻野さん(2023年3月卒業、国際学部外国語学科英米語専攻)。天理高校在籍時から、自身の活発な性格も相まって、いつしか「世界で活躍したい」との夢を抱くようになり、天理大学への進学を決めた。
当初は明確な目標もなく学生生活を送っていたが、1年次に「外交官養成セミナー」の受講を勧められ、外交官の仕事に興味を持つように。
「外交官になれば、一般の仕事では体験できない、世界と日本の“懸け橋”となる仕事ができる」。その魅力に引き込まれるうちに、自身の目標がはっきり定まったという。
以後、同セミナーを中心に、国際法の勉強や英語力の向上に取り組んできた鴻野さん。3年次には、交換留学生としてアメリカへ。「現地の多様性に富んだ文化にふれることで、自身の視野を大きく広げることができた」と振り返る。
こうして今年8月、国家公務員の中でも難関として知られる外務省専門職員採用試験に見事合格した。
「試験を突破できたのは、『外交官養成セミナー』を通じて、1年次から外交官を目指すうえで必要な知識を学べたことはもちろん、現役の外交官と直接、意見交換する機会を持てたことが大きい。講師の先生方が示してくださった『一つの問題に対して、とことん追究する姿勢』をもって勉学に励めたことが、何より役に立った」と語る。
鴻野さんは、来年4月から外務省で1年半勤務した後、3年間の留学を経て、国外にある大使館などへ配属される予定だ。
「いつか『鴻野に任せておけば大丈夫』と言ってもらえるような、各国の役人から信頼される外交官になることが目標だ。そのためにも、自国の利益だけを重要視するのではなく、『互い立て合いたすけあい』の精神で、まずは相手を尊重する姿勢を大切にしていきたい」と抱負を述べた。