信頼の醸成が信仰の芽生えに – 布教部オンライン講座「若者と信仰」
2023・10/25号を見る
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布教部(松村登美和部長)は9月25日から10月31日にかけて、オンライン講座「若者と信仰」を配信している。同講座は、昨今のスマートフォンの普及をはじめとする情報技術の進展に伴い、世代間における価値観の相違が指摘されるなか、若者にどのように信仰を伝えればよいかを考えるきっかけにしようと企画されたもの。
冒頭、村田幸喜・布教部社会福祉課長があいさつ。若者に信仰を伝えるうえでは、若者の感覚や置かれた状況をしっかり理解することが必要と話した。
続いて、講師の島田勝巳氏(天理大学副学長)が「現代の社会と若者の宗教意識」をテーマに講演。若者を対象とする宗教意識に関する調査結果や、自身が大学生と関わる中で得た経験などをもとに話を進めた。
その中で、若者の宗教意識の傾向に関する調査結果をもとに、伝統的な宗教行事や既成宗教への関心は薄れているものの、宗教心そのものが希薄になっているとはいえないとして、若者の中にも「個人の心の問題として宗教的なものを求める気持ちはある」と指摘。「両親の信仰の有無が若者の宗教に対する考え方を大きく左右する」と報告した調査結果を踏まえ、SNSが普及するいまの時代に、若者の信仰心を最も育むのは家族間のコミュニケーションであると述べた。
また、SNSを通じて多様な情報を得ている若者の価値観と親世代の価値観が大きく異なっていることが、信仰の継承を難しくしていると指摘。親世代は「信仰」という言葉を特別なものとして用いる傾向があるなか、若者に対しては、より日常的な生き方として語るほうが良いのではないか、と持論を述べた。
そのうえで、信仰は個人の心の問題であると同時に、他者との関係性のうえにあるものだと強調。互いの信頼を醸成することが信仰の芽生えにつながるとして、身近な人間関係の中で教祖のひながたをたどる姿を日常的に示すことが、信仰を伝えることにつながると語った。
3氏がパネルディスカッション
この後、パネルディスカッションが持たれ、清水慶政氏(本部准員・学生担当委員会委員長)、長谷幹男氏(天理高校副校長)、杉田由紀子氏(本理仁分教会前会長夫人)の3人が登場。司会の深谷耕治・ひのきしんスクール運営委員の質問に、3氏が答える形で議論が行われた。
その中で、「若者にどのように信仰を伝えればよいのか」という質問に対して、清水氏は「まずは信仰の意味や神様との向き合い方などを丁寧に伝えることが重要」と回答。長谷氏は「育てる側の大人が、教えを定規に日々の実践を心がけ、信仰の喜びを行動や言葉に表し、楽しんで通ることが大切」と述べ、杉田氏は「自分が一生懸命に通っていても、子供に伝わらない場合があるかもしれない。いつの日か分かってくれると信じて待つことも大事」と答えた。
最後に、閉講あいさつに立った松村布教部長は、人々に根気よく教えを伝えてくださった教祖のひながたを胸に、若い人へ信仰を伝える努力を続けていきたい、と締めくくった。