【AI音声対象記事】
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どんな新建ちの家でもな、(中略)十日も二十日も掃除せなんだら、畳の上に字が書ける程の埃が積もるのやで。
『稿本天理教教祖伝逸話篇』130「小さな埃は」
キンモクセイ
技術の進歩によって、身の周りのちょっとしたものが簡単に分解・丸洗いできるようになっています。特に、新しいトイレの換気扇はワンタッチで取り外せるうえ、さっと水を流すだけでほこりが落ちるので驚きました。「自分の心も、こんな簡単に掃除できたらいいのに」と、つい余計なことを考えてしまいます。
思えば、ほこりとは衣類や布団など、私たちの生活に欠かせないものの破片です。では心のほこりにも、元の姿があるのでしょうか?
以前読んだ本の中にあった、人間が簡単に変われないのは、一見すると、改善目標を阻むように見える行動自体に「裏の目標」があるためで、これは体内の免疫機構のように自分を守る働きをしているとの分析に、なるほどと感心したことがあります。心の「ほこり」も、元をたどれば自分を納得させ、あるいは無理をさせないために必要だったものかもしれません。
さらに本の著者は、「裏の目標」を支えているのは、長年にわたって培われた「強力な固定観念」だと指摘します。これはまさに、わが心を教えに照らし省みて、自分中心から、人をたすける心に切り替えていく中にこそ、ほこりの大元が払われていくと読み替えられるのではないでしょうか。
さて、これから大掃除の続きです。来客に気持ちよく過ごしてもらいたいと思ったとたん、気力が湧いてくるから不思議です。
(大塚)