春を楽しむ心 心一つに祈りを捧げる日 – 逸話の季
2024・4/3号を見る
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4月です。桜の開花のニュースに、心躍る時季になりました。
特に大切な報せでもないのに、桜前線の動きに一喜一憂するのは、春の訪れが職場や学校での新たな出会いや新生活への期待につながっているからでしょうか。旬をじっと待っている桜の蕾は、きっとその開花の報せとともに、明日への期待と不安を抱えながら次の一歩を踏み出す人たちに、今年も勇気を与えるはずです。
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明治11年4月28日(陰暦3月26日)の朝、教祖の御許にお仕えして間もない山中こいそは、掃除を済ませたあとで、教祖に「何もせずにいるのは余り勿体のう存じますから、赤衣を縫わして頂きとうございます」とお願いしました。
そこで教祖は、すうすうと赤衣をお裁ちになって、こいそにお渡しになります。しかし一針二針縫った途端に、こいそはあたりが真暗になり、昼間であるのに黒白も分からぬ状態になりました。(『稿本天理教教祖伝逸話篇』「五九 まつり」)
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この年の正月から、教祖のお側にお仕えしていたこいそは、教祖から「まつりというのは、待つ理であるから、二十六日の日は、朝から他の用は、何もするのやないで。この日は、結構や、結構や、と、をや様の御恩を喜ばして頂いておればよいのやで」とお聞かせいただいていました。
このお言葉を思い出し、自らの行為を反省して元の状態に還ったこいそは、あらためて「二十六日」という日の意義を身に染みて感じることになります。
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「ぢば」を囲んで「かぐらづとめ」が勤められるこの日は、教祖の教えを信じる世界中の人々が、心を一つにして祈りを捧げる日です。この特別な日に、特別な場所で行われる特別な「つとめ」に、世界中の人々が心を寄せて祈るとき、世界はそのあるべき姿である「陽気ぐらし」へと、また一歩近づくのです。
おぢばへ帰りましょう。この場に集う多くの人々と共に、高らかに「みかぐらうた」を唱和するとき、いまの私たちも、この日がいかに特別な日であるかということを、あらためて実感できるのです。
■文=岡田正彦
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