天理時報オンライン

黒いハッピを着るのはなぜ? – 身近で聞いた素朴な問いにWAKUさんがお答えします


イラスト/なんばなつこ

天理教のホームページを見たという青年に尋ねられました。「参拝の様子などの写真を見ると、皆さん、黒いハッピのような服を着ていますが、あれはどういうものですか?」

その通り、私たちもハッピと呼んでいます。裾の短い上着で、紐で左右の前を合わせたり、帯を締めたりします。天理教信者が、参拝のときはもちろん、日常にも着ていることから、天理教のトレードマークのようになっています。

明治22年に、数百人の信者がそろいのハッピを着て道路開削工事の土持ちをした記録があり、これが天理教におけるハッピのはじめといわれています。単なる作業着ではなく、生かされている喜びを行いに表す「ひのきしん」の際に着る、親なる神様への報恩感謝の思いが込められたもので、それが次第に、日常の信仰活動においても用いられるようになっていったのです。

昭和2年に、背中の文字を「天理教」に統一し、襟にそれぞれの教会名などを入れるようになりました。ですから、襟を見れば、どこの教会に所属している人かということが分かります。

全国津々浦々から人々が帰り集う天理では、街を歩けばそこかしこで、さまざまな教会名称のついたハッピを着た人と出会います。海外の国や都市の名も見られ、背中の表記が「TENRIKYO」となっているものもあります。

また、天理にある管内学校の生徒や職員も、それぞれの学校名や寮名などが入ったハッピを着ています。

どのハッピを着る人も、襟の文字に自覚と誇りを持っているように思いますし、何よりも背中に「天理教」を背負っているので、おのずと背筋も伸びるのではないでしょうか。着ているハッピに恥じない中身でありたいと思います。


西村和久(天理教一筋分教会長)