おやのことば・おやのこころ(2021年6月27日号)
お月様が、こんなに明るくお照らし下されている。
『稿本天理教教祖伝』第三章「みちすがら」

雨上がりの黄昏、仲夏の風情を求めて近くの青田道を散策しました。
梅雨入りから1カ月余り。“水無月の雨”をたっぷり吸ったアジサイは、水を張った田に鮮やかな彩りを添えています。稲の苗は日一日と草丈を伸ばし、涼やかな風にさわさわと揺れています。
水路から流れ込む水の音は、心まで洗ってくれるように清らかです。山の稜線に沈む夕陽を眺めながら、大きく深呼吸すると、自然の気が体中に染みわたるような感じがします。
夕闇が迫るにつれ、その恵み豊かな大地で暮らす生き物たちの鳴き声が聞こえてきて、あっと言う間に大合唱になりました。意中の相手をデートに誘う“自然界の恋歌”にしばし聴き入っていると、さざ波が広がる水田に、淡い月影が映り込んできました。
「お月様が、こんなに明るくお照らし下されている」
空を見上げると、雲間から上弦の月が神々しく顔をのぞかせます。まるで生き物たちの“歌のステージ”を照らしているかのようです。月日・親神様の大いなるご守護が織り成す幻想的な光景に、思わず息をのみました。
間もなく梅雨が明けそうです。雲一つない日は、天の川や流れ星が素敵な夜空を演出することでしょう。団扇を手に星空の散策に出かけるのも趣があります。今年の夏も猛暑が予想されますが、折々の風情を味わいながら過ごしたいものです。
(お)