連載企画 おやさとスケッチ – 深まる秋の彩り
西薗和泉 画家
■にしぞの・いずみ――1960年、天理市生まれ。84年、京都市立芸術大学油画科卒業。2021年まで天理中学校美術教諭を務めた。著書に『木かげと陽だまり――水彩こころの覚え描き』(道友社刊)がある。勢白分教会ようぼく。
天理中学校に勤めていたとき、車での朝の通勤は、いつも北大路を通っていました。東へ向かって走らせるので、晴れている日は、正面からまともに朝日を浴びます。道の両脇に植えてあるナンキンハゼが日を追うごとに色づき、朝日に透けて見えるさまは、ため息が出るほどの美しさです。
そして、東側の駐車場に停めるために東筋に入りますが、今度は徐行して左側の旧別席場辺りをチェックします。常緑の生け垣が1カ所くり抜かれ、そこから真っ赤に色づいた並木道が、おやさとやかたへ向かって続いているのが見えます。さらに南へ向かい、和楽館を越えると、黄色いイチョウ並木が現れます。落葉して絨毯を敷き詰めたようになっているころも、それは見事な光景です。この時期の通勤は、おぢばの紅葉スポットに心を癒やされながら、車を走らせていました。
天理中学校の秋の恒例行事に「街頭ひのきしん」があります。11月中旬、1年生は学校周辺と天理図書館周辺、2年生は天理高校周辺、そして3年生は天理大学周辺と、全校生徒が割り当てられた場所で一斉に落ち葉掃きをするのです。落ち葉の量が多ければ多いほど、生徒たちは“やる気モード全開”で身体を動かします。ジャージーを着て一心不乱に作業する姿は、色とりどりの紅葉にマッチし、一幅の絵になっています。
天理中学校の3階にある美術室から西山古墳を見下ろすと、1本のナンキンハゼがあります。
葉の色が緑から黄緑、黄、橙、赤、赤紫と変化していくさまは、ちょうどそのころに1年生で教えているグラデーション(色の段階的変化)そのもので、授業中、実例として窓の外を指し示すこともありました。
今年の秋は10月になっても「夏日」が続き、いつまでも半袖でスケッチしていましたが、ある日突然、ジャケットを羽織らないと寒いくらいに気温が急に下がりました。この先、気候がどうなるのか心配しましたが、例年のように季節が進み、今年もまた、おぢばを秋色に染めていきます。
絵てがみプレゼント
季節の絵てがみ
西薗氏が新たに描き下ろした絵てがみを、抽選で3人の方にプレゼントします。ご希望の方は、ハガキまたはEメールで「11月17日号『おやさとスケッチ』絵てがみ希望」と明記のうえ、住所・氏名・年齢・電話番号を書き添えて下記まで。紙面の感想やご意見も併せてお聞かせください。今号の締め切りは11月27日(消印有効)。なお、当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
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天理時報「おやさとスケッチ」係
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