秋冷の温もり お言葉とともに生きる人生 – 逸話の季
11月になりました。先日は、薄墨を流したような分厚い雲から、霰まじりの冷たい雨が降りました。もうすぐ本格的な冬がやってくるのでしょう。
とはいえ、この寒気のおかげで、鮮やかな紅葉を楽しむことができます。拾い集めた木の枝や枯葉で焼いたサツマイモの味は、この季節にこそ際立ちます。どんなときも、その時季なりの楽しみ方を見つけて暮らしたいものです。
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明治18年、加見兵四郎は、長女と共に目が見えなくなり、11月1日に妻つねをおぢばへ代参させました。教祖は「本人が出て来るがよい。その上、しっかり諭してやるで」とお諭しくださいました。この話を聞いた兵四郎は、3日朝、笠間から4里の道を、片手に杖を持ち、片手は妻に引いてもらって、お屋敷へ帰ります。
そのとき教祖は、まず「さあ/\」と仰せあり、それから約2時間にわたって元初まりの話をされました。教祖のお声の大きさは、あたりの建具がピリピリと震動したほどです。そのお言葉が済むや否や、ハッとすると、目はいつの間にか鮮やかとなり、帰宅してみると、長女の目も鮮やかにご守護いただいていました。
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元初まりの話には、この世界と生命の成り立ちが説かれています。自分を含む、人類と宇宙の存在の意味と目的を知ることは、明日への希望を胸に、今日を生きる力の源になります。
教祖は、すべての人に「陽気ぐらし」の可能性が与えられているとお伝えくだされたばかりでなく、「陽気ぐらし」世界の実現を祈念する「つとめ」をお教えくださいました。つまり、自分の可能性を信じ、未来への希望をもって生きる道が示されているのです。
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暗がりに光が差せば、周囲がよく見えるようになります。自分の可能性を信じて未来に希望が持てるようになれば、たとえ困難な状況にあっても、前向きに生きることができるでしょう。なぜなら、これまで見えなかったものが、見えるようになるからです。「教祖のお言葉とともに生きる人生に絶望はない」と、あらためて感じる逸話です。
■文=岡田正彦
秋の親里の様子が動画で見られます