天理時報オンライン

天理教の人間創造説話とは? – 身近で聞いた素朴な問いに WAKUさんがお答えします


「市民大学の宗教の講座で、天理教にも人間創造の説話があると聞きました。それはどういうお話ですか?」と、高齢の男性に尋ねられました。

『天理教教典』に、「この世の元初りは、どろ海であつた。月日親神は、この混沌たる様を味気なく思召し、人間を造り、その陽気ぐらしをするのを見て、ともに楽しもうと思いつかれた」という書き出しで始まる、「元の理」のお話が収められています。

誰でも、自分が生まれたときのことは覚えていないものです。いつ、どこで生まれたのか、自分の親は誰なのか、それは親から聞いて知っています。

同じように、人間が、いつ、どこで、何のために造られたのかということは、元の親である神様から教えてもらわなければ分からないことです。私たちは、神おやさまのやしろである教祖のお口を通して、親おぼしめし神様の存在と、その思召を初めて聞かせていただくことができました。天理教は、こうした元、根本を示して、人間がたすかる道を説いているのです。

イラスト/なんば なつこ

このお話は「元初まりの話」とも呼ばれ、親神様が何もないところから、はるかな年月と手間をかけて、この世と人間を創造された経緯が書かれています。そこには、人間を造るための道具に使われた動物などが出てくるので、おとぎ話のように思われるかもしれませんが、これは単なる人間創造の説話ではありません。

大事なことは、このお話によって、世界中の人間はすべて親神様の子供として兄弟姉妹であるという真実や、親神様が私たちの身体をはじめ、世界のあらゆるものを、どのようにご守護くだされているかを理解できるということです。

この世界が陽気ぐらしの世となるために、私たちがいかに歩んでいくべきかを知ることのできるお話でもあるのです。

西村和久(天理教一筋分教会長)