家族に語りかける“冬の使者” – おやのことば・おやのこころ
2023年2月11日
おやのことば・おやのこころ をやこでもふう/\のなかもきよたいも
「おふでさき」五号8
みなめへ/\に心ちがうで
朝起きると、真綿のような雪がはらはらと舞っていました。
真っ白な屋根、白く覆われた草木……。普段見慣れた景色も、雪化粧をまとうと、まるで別世界です。筆者の住む地域に、これほど雪が降り積もったのは何年ぶりでしょうか。浮き立つ気持ちを抑えきれず、いそいそと家族に知らせに行くと、窓から雪を目にした妻が、ため息交じりにこんな言葉を呟きました。
「懐かしい」
北国で育った妻にとって、雪景色は郷愁を誘う情景そのものなのでしょう。物珍しい気持ちで眺めていた筆者とは、どうやら“冬の使者”を迎える感覚がずいぶんと違うようです。ふと脳裏をよぎったのが掲出のお言葉です。
親子、夫婦、兄弟でも、その心は皆一人ひとり違うとお教えくださいます。一つ屋根の下で普段からよく会話し、互いに理解し合っていると思っていても、尋ねてみないと分からないことは、まだまだあるような気がします。違いを受けとめ、認め合うからこそ、人は絆を強めていけるのです。日ごろから相手の気持ちを汲み取り、優しく寄り添える、そんな人になりたいものです。
眠い目をこすって起きてきた幼い娘二人が、雪を見るなり、声を上げて外へ飛び出していきました。「お父さん、雪だるまを作ろうよ」と満面の笑みです。さあ、童心にかえって、思いきり体を動かすことにしましょうか。
(大西)