リポート ウクライナ避難民受け入れから1年 – 天理大学と市が連携 学生生活を全面支援 留学生2人が会見
天理大学(永尾教昭学長)が天理市と連携してウクライナ避難民を受け入れてから間もなく1年を迎える。現在、ウクライナ人学生9人を留学生として受け入れ、学校生活はもとより、生活面を含めた全面的な支援を行っている。2月15日には県内報道各局へ向けて会見を開き、ウクライナ人留学生2人が現状などについて話した。
昨年のロシア軍によるウクライナ侵攻に伴い、多くのウクライナ人が国外へ避難し、日本でも各地の自治体などがウクライナ避難民を受け入れている。
天理大は天理市と連携し、2022年4月、同大卒業生のオクサーナ・コベリャンスカさん一家を受け入れた。オクサーナさんを同大の嘱託職員として雇用する就労支援のほか、子弟を学生として学べるようにする修学支援を進めてきた。さらに、天理大では避難民の受け入れに当たり、「天理大学国際支援募金」を開設した。
その後、7月には学術交流協定を結んでいるキーウ大学から、新たにウクライナ人学生9人を避難留学生として受け入れた。ウクライナ人留学生たちは、9月から同大国際学部地域文化学科日本研究コースで日本語を修得するべく講義を受けている。留学生の生活費は、同募金から拠出。また、学生生活を直接サポートする「チューター」として、日本人学生が一対一で寄り添い、大学生活や私生活の支援を続けている。
今年1月には、国際学部主催の人権啓発行事として「もう一つの留学:ウクライナ留学生からの視点」と題する催しを実施。ウクライナ人留学生の状況について理解したうえで、人権の視点から、共生と支援のあり方について考える場を持った。
天理市民の温かさに感謝
2月15日には、同大が県内報道各局向けに会見を開き、ウクライナ人留学生の代表としてソフィア・ヤロスラフツェヴァさん(20歳)とダリナ・リトヴィンチュックさん(20歳)の二人が記者のインタビューに答えた。
キーウ大で日本語と日本文化について学んでいたソフィアさんは、留学前、戦禍のなか家族と離れる決断をするのは苦しかったと話した。そのうえで、留学生活について「天理大学の職員や学生が温かく迎え入れてくれたことで、次第に不安はなくなった。『何かをしてあげたい』と思ってくださることが、とてもありがたい。手厚く支援してもらっていることに心から感謝している」と胸の内を語った。
また、ダリナさんは「とても温かく受け入れてくださり、感謝の気持ちを皆さまに伝えたい。留学をきっかけに日本文化について初めて学び、母国の文化との共通点や相違点、日本人の精神を学ぶことができている」と話した。