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このたびハほんしんぢつの水の事
どんなはなしをするやしれんで
「おふでさき」十二号165
熱中症への注意を要する「危険な暑さ」が続いています。7月の全国の平均気温は例年より約2度も高く、およそ100年の観測史上で最も暑かったそうです。
そんな折、首にかけるリング型の保冷剤を頂きました。宇宙服の研究から生まれたという「28度で凍る物質」でできており、自然な冷たさが長く続く優れものです。
たとえば冷凍庫から出した氷に熱を加えていくと、融点の零度に達した段階で温度が上がらなくなります。その際、実は結晶の内部では「相転移」と呼ばれる構造上の変化が静かに生じており、すべての氷が液体の水に変化した後、再び温度が上昇するようになります。こうした原理から、この保冷リングは中の素材が溶けきるまで、快適な28度を保てるのです。
これは、どこか人間の心にも通じるような気がします。
誰かを温かく励ましたとき、すぐには目に見える変化が感じられないこともあるでしょう。しかし、その熱は気づかないうちに蓄積されていき、やがて“心の相転移”が訪れるのだと思います。
一方で、ひんやりとしたリングのように、冷静に見守ってくれる存在も、とても心強いものです。子供たちの熱気に包まれた夏のおぢばを歩きながら、そんなことを考えました。
(大塚)