“飛込兄妹”世界へ 日本選手権で優勝 – 東京の金戸快選手・凜選手
2023・10/4号を見る
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金戸快選手(日本大学大学院1年・セントラルスポーツ所属・名髙分教会信者)と妹の凜選手(日本大2年・同所属・同)は、9月1日から3日にかけて宇都宮市の日環アリーナ栃木屋内水泳場で行われた「日本選手権水泳競技大会」飛込競技に出場。快選手が男子高飛込で、凜選手が女子高飛込で、兄妹そろって優勝盾を手にした。両選手は、来年2月にカタールのドーハで行われる「世界水泳選手権大会」の日本代表入りを決めた。
金戸兄妹は、ソウル・バルセロナ・アトランタ五輪の飛込競技に3大会連続出場を果たした幸さん(旧姓=元渕、54歳・同教人)・恵太さん(56歳・同ようぼく)のオリンピアン両親の指導のもと、飛込選手として国内外の大会で活躍。なかでも凜選手は、昨年夏の世界選手権飛込競技女子3メートルシンクロ飛板飛込で、日本勢初となる銀メダルを獲得している。
“高出力”の演技で初V – 兄・快選手
昨年、「日本学生選手権水泳競技大会」飛込競技男子3㍍飛板飛込と同高飛込の2種目で初優勝した快選手。さらに上のレベルで戦うために、より高く、速く、強く飛んで回転する演技を目指し、〝高出力〟をテーマに掲げてトレーニングに取り組んできた。
日本選手権当日、「調子が非常に良く、万全の状態だった」と快選手。男子高飛込予選で、2位以下を30点近く上回ってトップ通過する。
決勝でも高得点を重ねるなか、5本目の「307C(前逆宙返り3回半抱え型)」を成功させ、最高得点を記録。「夏に行われた『ワールドユニバーシティゲームズ』では、この技で大失敗したが、今回は自分の演技に集中し、良い形で飛ぶことができた」
終始安定した演技を見せた快選手は、460.5点を記録し、2位以下を50点以上引き離して大会初優勝に輝いた。
快選手は「国内最大規模の大会で優勝を手にすることができて、とてもうれしい。来年の世界選手権は、パリオリンピック代表入りが懸かった最後の試合。出場権を必ず持ち帰れるような演技を目指し、全身全霊を込めて力を出しきりたい」と話している。
けが乗り越え再び頂点 – 妹・凜選手
日本選手権飛込競技女子3㍍飛板飛込優勝、世界選手権銀メダルなどの実績を持つ凜選手。しかし、昨年9月末に「左膝後十字靭帯断裂」などの大けがを負い、手術を受けた。懸命にリハビリを続けるなか、上半身を使ったトレーニングなどにも努めた。
昨年末、プールでのトレーニングを再開。年明けからは、足を使わない入水練習を再開した。
当時の心境について「正直、思うように体が動かせないことに落ち込んだ。痛みもあり、前へ進めているのか、あまり実感できない日々だった」と振り返る。「日常生活で膝に痛みを感じなくなったのは最近」と打ち明ける中も、一本一本の演技を大切にしたトレーニングを続け、練習量を集中力でカバーしながら大会に向けて調整してきた。
凜選手は予選で2位以下を大きく離してトップ通過。決勝では、5本中4本を終えた時点でパリ五輪代表に内定している荒井祭里選手に僅差でリードされたが、最終演技で5237D(後ろ宙返り1回半、3回半ひねり)を見事に成功させ、逆転優勝。日本の頂点に返り咲いた。
凜選手は「リハビリから支えてくださった病院の方やトレーナー、チームメート、家族への恩返しの気持ちを胸に飛んだ。世界選手権へ出場できることに感謝し、パリオリンピックへのラストチャンスに精いっぱい頑張りたい」と語った。
なお凜選手は、日本学生選手権女子高飛込と、「国民体育大会」女子高飛込でも優勝した。