5大会ぶり国体V 決勝戦を完全試合で締めくくる – 天理高校軟式野球部
2023・11/1号を見る
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天理高校軟式野球部は、10月8日から鹿児島県出水市のブルーチップスタジアムで行われた「国民体育大会」に出場。決勝戦で河南高校(大阪)を1-0で破り、5大会ぶり3度目の優勝を手にした。
堅い守備が特長の今年のチーム。今夏の「全国高校軟式野球選手権大会」では、トーナメントを勝ち進んだものの、決勝戦で中京高校(岐阜)に敗れ、準優勝となった。
国体に向け、全国優勝を再度誓った同部。木田準也監督(41歳)は「選手たちには、あらためて守備の大切さを伝えた。特に国体までの約1カ月間、今大会が最後となる3年生には厳しく指導した」と振り返る。
専修大学北上高校(岩手)との初戦。天理高校は二回裏に2点を先取してリードするが、五回表、調子を崩したエース・木村心粋投手(3年)が打ち込まれ、2-3と逆転される。しかし、六回から登板した藤本大地投手(2年)がきっちりと相手打線を抑えると、その裏に勝又瑞生選手(3年)のヒットなどで4-3と逆転。そのまま藤本投手が後続を抑え、初戦を突破した。
夏の大会で敗れた中京高校との再戦になった準決勝は、互いに譲らず延長戦にもつれ込んだ。ノーアウト一、二塁から始まるタイブレーク制で行われる延長戦。天理の攻撃、1アウト満塁のチャンスで木村投手が放った打球はファーストゴロになるも、その間にランナーが生還して1点を獲得。その裏を抑えて4-3で勝利し、夏のリベンジを果たした。
3試合でエラー無し
迎えた河南高校との決勝戦。初回表、天理高校は一番の石井昭郎キャプテン(同)が四球で出塁すると、死球と犠打で三塁へ進み、木村投手のショートゴロの間に先制する。
その裏、木村投手が相手打線を三者凡退に抑えて好発進。その後は追加点を挙げられなかったが、木村投手が変化球を巧みに織り交ぜた丹念なピッチングを続け、一人のランナーも出塁させない。
1-0のまま進んだ九回裏、河南高校の攻撃。一人目をキャッチャーフライ、二人目を三振で打ち取ると、最後はピッチャーゴロを自ら処理し、ゲームセット。木村投手は、自身初の完全試合を成し遂げ、同部は5大会ぶり3回目の優勝を果たした。
木村投手は「夏の大会では四球を出して崩れたので、制球力の向上に注力してきた。決勝当日は、マウンドに上がるまで球が浮いていて調子は良くなかったが、いざ試合が始まると、いい感じで投げられた。完全試合を意識せず、仲間を信じて打たせて取るピッチングを心がけた」と話した。
石井キャプテンは「夏の悔しさを晴らすことができて良かった。応援してくださった人たちに恩返しができた」と語った。
木田監督は「今年のチームは『粘り強く、最後まで諦めないチーム』だった。国体の3試合でエラーが一つも無かったのは素晴らしい。選手たちが最後に喜んで終わることができて私もうれしい」とコメントした。