母親に寄り添う地域支援 – ルポ「子育てひろば・かぁかのおうち」
2024・2/21号を見る
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東京都墨田区の梅一分教会(吉永昭悟会長)を拠点に、子育て支援を展開するNPO法人「子育てひろば・かぁかのおうち」が2023年11月、第1回「未来をつくるこどもまんなかアワード」(主催=内閣府こども家庭庁)で「こども・若者活動奨励章」を受章した。代表を務める会長夫人の吉永道子さん(61歳)は平成28年、区で初となる民間の子育てひろばを立ち上げ、現在は妊娠初期から3歳児まで、子供の成長に合わせた支援活動を行っている。開設から8年を経た現在の「かぁかのおうち」の取り組みを紹介する。
20年前から民生児童委員として、地域住民の世話取りを続けていた吉永さん。8年前、「地域の母親や子供たちに寄り添う活動がしたい」との思いから、教会を拠点に「子育てひろば・かぁかのおうち」を開設した。
当初の利用者は月に二人ほどだったという。それでも「来てくださった方に喜んでもらいたい」と心を尽くし、家庭に深刻な事情を抱えていることが分かると、民生児童委員の経験を生かして寄り添い続けた。すると、徐々に口コミで広まって利用者が増加。それに呼応するように有為なスタッフが集まり、それぞれの特技を生かして「英語教室」や「両親学級」などを開くようになった。
吉永さんは「さまざまな事情を抱えた利用者が集まって、皆、自然と良いほうへ向かうことに、不思議なお引き寄せとご守護を感じる。それは、ぢばの出張り場所である教会に寄り集うからこそだと感じている」と話す。
たすけの手を差し伸べ
1月23日、教会に6人のスタッフと二人のボランティアが集合し、「おうち」主催のイベントの一つ「赤ちゃん食堂」が催された。
これは、月齢の近い乳幼児を持つ親が食卓を囲み、スタッフの手作りの離乳食を子供に食べさせるというもの。参加者同士が交流することで、母親ならではのさまざまな悩みを共有したり、孤独感を和らげたりする場になっている。
この日は10組の親子が参加。和気あいあいとした雰囲気のなか、そこかしこで自然と話に花が咲く。そんななか、スタッフたちは絶えず目を配り、泣きだす子をあやしたり、母親に子供の普段の様子や食事の際の悩みなどを聞いたりするなど、連携の取れたチームワークを発揮する。
生後7カ月の赤子を連れて初めて参加した30代の女性は「子供が離乳食をなかなか食べてくれず、心配が絶えなかったが、ほかの親子が同じように苦労しているのが分かって安心した。スタッフの方が子供をたくさん褒めてくださったおかげで、これまで気がつかなかった子供の長所に目を向けることができた」と笑顔を見せる。
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「おうち」では現在、「出張赤ちゃん食堂」という取り組みを並行して実施している。これは、墨田区の北部に位置する「おうち」に、同区の南部から小さい子供を連れてくるのは難しいという声を受けて、昨年新たにスタートしたもの。いずれの活動も、その軸は一貫して「母親に寄り添う」ことにあるという。
吉永さんは「利用者に心を尽くし、たすけの手を差し伸べるのが『おうち』の役割であり、教会の使命だと思う。今後も『おうち』のような施設を全国に増やす活動を展開していきたい」と話した。
文=森本みずき
写真=山本暢宏
「子育てひろば」
3歳までの児童とその親が訪れ、親同士の交流の場や子供の遊び場を提供する施設
下記URLから吉永さんの活動を取り上げた過去記事を見ることができます
https://doyusha.jp/jiho-plus/pdf/20240214_kikaku.pdf
音声コンテンツ「天理教の時間『家族円満』」では、吉永さんが担当する「東京スカイツリーから、こんにちは」が聴取できます
https://www.tenrikyo.or.jp/yoboku/radio_author/yosinaga/