時報俳壇(2024年2月28日号) – ふじもと よしこ選
2024・2/28号を見る
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初鏡心定めを確かめし
名張市 霧道三明
世の中の風になびかずちゃんちゃんこ
横浜市 番家達也
南国に生れし小さき雪だるま
愛媛県 中山富貴
地球てふ命の方舟寒卵
近江八幡市 若林白扇
芥呑み初雪清し朝づとめ
甲賀市 岡田 悟
正月のうつつかき消す能登の地震
和歌山市 西澤喜久治
網走の砂を吐き出す寒蜆
札幌市 田森つとむ
老けざりし遺影の妻に年始かな
天理市 北嶋修二
白き庭何を啄む寒雀
江別市 杉山忠和
被災地に御守護よあれと祈る寒
豊川市 菊地美智代
おもむろに白湯を引寄す湯冷めかな
東京都 吉田柳哲
風凍つる焼土に熱きひのきしん
門真市 傳石敏治
極寒に牙むく自然胸痛む
観音寺市 川上隆子
月冴ゆるトロンボーンの鎮魂歌
東京都 大矢典子
水仙を活けてつとめす太鼓の音
秋田市 高橋重雄
実を摑む指のリハビリ柚子湯かな
今治市 仙波絹子
初日記生きて感謝のページなる
水戸市 富田直子
日脚伸ぶ勇み心に福来る
名古屋市 伊園三郎
ぢば慕いかえる我の笑みお節会に
豊岡市 谷口質子
地震の地の吹かれて翳る雪時雨
大津市 平井紀夫
四年ぶりの直会嬉し年酒酌む
町田市 鯉渕洋子
書初めはひながたの道懸命に
柳井市 冨山栄子
面会の母の姿や冬桜
北九州市 岩谷 典子
初夢の続きを見たし朝ぼらけ
東京都 廣瀬智恵
広い部屋一人迎えるお正月
北九州市 松下澄子
凍て空に一つの望み一つ賭け
滝川市 家納千世子
梅東風や諭達を胸におやさとへ
京都市 下條やすよ
選者詠
星空の山家一灯寒に入る
【評】
霧道さん
諭達発布の折、強く誓った心定めを今年初めて見る、ご自分の顔をしっかり見つめ、あらためて確認されている作者です。
番家さん
いま世の中はすべて荒んだ状態です。そんな風には靡かず、親神様の御心に沿い、常に自分をしっかりと維持しなくては。
中山さん
暖かな南の地でも小さな雪だるまが作れた喜び、ささやかな日常に幸せを感じる作者です。
次回は、5月までの到着分から選句。投稿は春の季語(2、3、4月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686 天理郵便局私書箱30号
「時報俳壇」係
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