時報歌壇(2024年2月28日号) – 植田珠實選
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施設へと覚悟を決めて入所して第二の家庭始まりました
所沢市 三上理恵子
心してつぶさに仕草を見守りぬ障がいの子らの素直さ愛し
秋田市 高橋重雄
緑濃きみずなの御節いただきぬ となりの幼「おちるがおいちい」
高槻市 石田たまの
どうしてもといふもどかしさ受け入れしほのぼの生きむ老いのだいご味
八尾市 伏田和子
愛らしき老女になりたし 良く笑う これが私の健康法なり
福山市 藤井光子
一年の無事を願ふは欲張りと今日一日のことを祈りぬ
いなべ市 筒井みつ江
頬ずりと感謝の言葉を繰り返す棺の母へひとり娘は
所沢市 岡田陽一
母逝きて一人の朝のダージリン最後の一滴こんなに苦い
横浜市 及川秀代
なつかしき母の歌声聞こえくる叱られた日が恋しくなりて
宇佐市 三好秋美
入院の三カ月は長し「すみません、ありがとう」で夏の日暮るる
東大阪市 宮脇貞子
寒の日の蜜柑の枝にさがりゐる蝶は純白の翅をたたみて
呉市 月原光政
肩先に山茶花こぼれる石垣は少し遠出のリハビリの道
甲賀市 岨中幸男
眠る前カーテン開けてそっと見る 東の空に有明けの月
近江八幡市 村井 八郎
瀬戸内の島から望む大橋は夢と希望を繋ぐ架け橋
福岡市 山口巳津夫
冬の海荒れる波間をみつめればこの世の全て遠くに思へり
京都市 寺澤幸子
選者詠
海霧の湧きゐし能登に漆塗る
老いたるひとよ輪島が燃ゆる
能登半島地震の被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。能登から毎回投稿してくださる岩城康徳さん、ご無事ですか。案じております。どうぞ皆さま、ご自愛くださいまして佳き春をお過ごしください。
次回は、5月までの到着分から選歌。投稿は短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686
天理郵便局私書箱30号「時報歌壇」係
Eメール[email protected]