技術を用いる人の心こそ – 視点
2024・4/24号を見る
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近年、新しい技術として注目を集め、急速に普及が進んでいるものの一つに「ドローン(無人航空機)」がある。少子高齢化の問題を抱える日本では、農業や産業、防災、災害救助、インフラ整備、そして流通・輸送など、さまざまな分野で活用が進んでいる。
また、国産ドローンの製造にも力が入れられている。従来の家電と同じく高品質な製品を生産することで”ブランド化”を目指し、たとえ部品の製造工場が国内になくても、日本のメーカーが品質を保証する取り組みが始まっている。
特に、災害時に孤立した被災者のもとへ医療物資を運んだり、災害現場の上空から被害状況を把握したりするために、たとえばマンションの特定の部屋に正確に宅配できるドローンや、強風などの厳しい環境でも安定飛行が可能なドローン、高品質の映像システムを搭載したドローンなどの開発が進んでいるという。
さまざまな規制緩和や5G(第5世代移動通信システム)の本格運用が始まったことが追い風となり、私たちの暮らしの中にもドローンが進出する動きは、さらに加速するだろう。
一方、もともと軍事目的で開発されたこともあり、戦地では軍事利用が盛んだ。人々の生活を豊かにする技術革新が、犯罪や戦争に使われることに鑑みるとき、こうした最新技術を活用する人間の心の資質が重要になる。
ところで、江戸末期、農民にとっての”最新技術”といえば金肥などの肥料であった。それらは高価で、なかなか買うことが難しい状況にあって、教祖は「肥のさづけ」を渡された。「おふでさき」に「こゑてもなどふしてきくとをもうなよこゝろを神がうけとりたなら」(十三号61)とあるように、用いる人の心の資質や向きが何より大切であり、つくし・はこびの真実をお受け取りくださって、肥が効き、豊作のご守護を頂くのである。
ドローンに限らず、さまざまな技術は、すべからく人類の平和に活用されるべきである。その基本姿勢として、次のお言葉を肝に銘じたい。
「陽気というは、皆んな勇ましてこそ、真の陽気という。めん/\楽しんで、後々の者苦しますようでは、ほんとの陽気とは言えん」(おさしづ明治30年12月11日)
ドローンが席巻する姿を見るにつけ、その技術を用いる人の心が何に根ざしているかを重要視することが、悪用や乱用を防ぐ途ではなかろうか。
(永尾)