祈りに包まれて – わたしのクローバー
辻 治美(天理教甲京分教会長夫人)
1969年生まれ
不安な日々
8月になると、三男が生まれた日のことを思い出します。16年前のその日も暑さが厳しい日でした。小学6年生の長男は毎日野球に夢中、4年生の長女は赤ちゃんが大好きで、保育園年長の次男はお母さんにべったりの甘えん坊。家族みんなが4人目の誕生を心待ちにしていました。
しかし、生まれてすぐにてんかんを発症し、NICU(新生児集中治療室)に入院となりました。発作が治まり退院しても、すぐに再発。1歳を迎えるまで入退院を繰り返し、そのたびに私も付き添い入院。
生後4カ月になっても首がグラグラして縦抱きができない。目が合わない。笑わない……。発作が治まったら普通に発育すると思っていましたが、さほど変わらない様子に不安が大きくなっていきました。
それでも主人は、いつも笑顔で話を聞いてくれました。子供たちも面会時にたくさんおしゃべりしてくれて、その笑顔に救われる思いでした。
重い障がいが残ることを告げられ、無事に育てられるか、幸せにしてあげられるか自信がありませんでした。そこで、表情を出しにくい息子が笑顔になるご守護を願って、親子で修養科に入ろうと心に決めました。
修養科とは、人生のさまざまな節目に自分の心を見つめ直し、天理教の教えを学んで心の修養に励むところです。17歳以上なら誰でも入ることができ、人間創造の元の場所である「おぢば」で3カ月を過ごします。その間、子供は託児所や天理小学校で受け入れてくれます。
主人に相談すると大きな心で受けとめてくれ、家族の協力のもと、13年前の6月に2歳の三男と小学3年生の次男を連れて、修養科へ入らせていただきました。
息子の笑顔
無事に過ごせるか心配でしたが、宿舎である詰所の方々や、修養科の仲間がいつも助けてくれました。
三男は首がすわっていないので、託児所では乳幼児のクラスに入れてもらい、保育士さんが毎日、病の回復をお祈りする「おさづけ」を取り次いでくれました。私も毎日、神殿で取り次ぎ、詰所に帰ると仲間や先生が取り次いでくれました。
親子3人、汗だくになりながらも元気に過ごし、周りの方々の祈りに包まれる日々。いつしか不安は消え、ありがたいなあと喜んで過ごしていると、三男に変化が見え始めました。おさづけを受けるとき、目を合わせてニコニコ笑うようになったのです。
その笑顔を見て感激で涙があふれ、「この素晴らしいおさづけを、多くの人に取り次がせていただきたい」という気持ちが湧き上がりました。
真夏のむくむくとした入道雲を見ると、あのときの気持ちが蘇ります。息子はこの夏16歳。横になりながら、こちらを見つめて気持ちを伝えてくれ、その笑顔で家族や周りのみんなを癒やしてくれます。
いつも私たちを見守っていてくださる親神様の存在と、相手を思う祈りには確かな力があることを教えてくれた三男。私たち夫婦のもとに生まれてきてくれてありがとう。この感謝を胸に、夫婦で人のたすかりを祈って、おさづけを取り次ぐ日々を続けていきたいと思います。



