新春歌壇(2024年1月3日号) – 植田珠實選
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曲がりても十指は己の宝物 去年も今年もともに生きぬく
石川県 岩城康徳
元日の改札口にあふれくる人みな家のぬくもりを曳き
呉市 月原光政
我が足で長き回廊歩きたし車椅子で行く親里やかた
甲賀市 岨中幸男
三が日は老介施設にひのきしんおせち弁当ことしは五十五
東村山市 加藤八重子
あちこちの痛みこらえて妹は今年もおせち作りていたり
熊野市 福山久美子
生かされて生き働くことのなすべきを思ひめぐらし冬ぬくし日に
八尾市 伏田和子
ポポポンと鼓の練習する七歳のポンポンポンと神殿にひびく
ふじみ野市 酒井笑子
目を閉じてふるさとの山思いたりどこにいるのか遊びしあの友
宇佐市 三好秋美
バス道の吸い殻拾い九年目にごくろうさまねと銀杏舞い落ち
神戸市 足立國雄
透明な初春の陽は昇りきぬ 歩みてゆかん傘寿の春を
高槻市 石田たまの
神殿に積み上げられし鏡餅その大きさに目をみはりたり
宇部市 天野敬子
元旦祭に身の丈分を願うなり ただ元気でとあとは気楽に
福山市 藤井光子
満州の広き大地に沈みゆく赤き夕陽に祖国をおもう
京都市 寺澤幸子
茶と珈琲を断ちたる吾の祈る日々ともに病む汝に新年来る
秋田市 鎌田正男
変り行くわれの古里、渋谷にも春の小川の細き道あり
川崎市 木村道治
新春選者詠
戦ひをしらないままに生きて来つ
そらみつ大和に迎ふる新年
次回は、1月末までの到着分から選歌。投稿は短歌3首まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686 天理郵便局私書箱30号「時報歌壇」係
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