第94回企画展 くらしの道具――今昔モノがたり – 天理参考館
時代と地域が紡ぐ物語
天理参考館(橋本道人館長)は現在、第94回企画展「くらしの道具――今昔モノがたり」を開催中。時代の営みを反映してきた日本の「くらしの道具」にスポットを当てた今展。江戸時代から昭和までの「くらしの道具」を三つのカテゴリーに分け、それぞれに関連する世界各国の生活文化資料と共に展示している。時代の流れを経糸に、地域の広がりを緯糸に紡ぐ広大な『今昔モノがたり』を通して、多様な文化にふれることができる。ここでは、展示資料の一部を紹介する。
電話機 昭和
明治9年、アメリカで実用的な電話機が発明され、そのわずか1年後に日本に2台輸入された。29年には、磁石発電機を回して電流を送る、高感度なデルビル磁石式電話機が生まれた。
羽釜・飯櫃・ふご 昭和
現代の炊飯器は羽釜、飯櫃、ふごが三位一体になったもの。羽釜は胴回りに羽が付いた釜で、飯櫃は炊き上がったご飯を入れる木製の器。ふごは藁製の器で、飯櫃ごと入れておくと、ご飯の温もりが保たれる。
回転式炬燵 昭和
木枠の中に炭火などの火種を入れる器を付けた炬燵。木枠は六角形で、転がっても中の火入れは水平に保たれ、灰がこぼれない工夫がなされている。
氷冷蔵庫 昭和
明治時代後期に登場した、氷を利用する冷蔵庫。内側にブリキ板が貼ってある。上の扉に入れた氷の冷気が下がって、下に入れた食品を保存した。
蠅帳 昭和
開放的な構造の日本家屋ではハエや蚊が容易に侵入するため、食べ物を一時的に保存する生活用具として蠅帳が使用された。網張りされているので虫の侵入を防げる。また風通しが良く、ある程度の腐敗は防ぐことができる。
企画展の会期は3月4日まで。詳しくは下記からホームページへ。
https://www.sankokan.jp/news_and_information/ex_sp/sp094.html
関連トピックス
オリジナルかるた制作
参考館では、今展に合わせて「#むかしの道具を知ってる会 七つ道具っず かるた」を制作・販売している。
このかるたは、展示資料の画像に展覧会の公式キャラクターやオリジナルイラストを加えた絵札と、道具の特徴や歴史などの解説を添えた読み札で構成。日本古来の遊びを通じて、明治・大正・昭和のくらしの道具について楽しく学べる。
また、学習指導要領に基づいて設けられた、小学3年生の社会科単元である「昔の道具とくらし」の学習内容にも通じることから、天理市内の小学校へ寄贈することに。1月19日、天理市役所で贈呈式が行われた。
昔のあそび実地に体験
企画展開催中、参考館2階に「昔のあそびコーナー」を設置。参考館制作のオリジナルかるたをはじめ、紙風船や手ごまなど、昔から親しまれている遊びを実地に体験できる。