「高みを目指せ」と励まされ – 新連載 陽のあたる方へ1
2024・4/24号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
乾直樹
京都大学大学院特定教授
大阪分教会正純布教所長後継者
この春、私どもの布教所で実施している「こども食堂」を”卒業”した中学3年生12人全員が、第一志望の高校へ進学しました。「こども食堂」を始めて6年、「こども食堂」に併せて行っている学習支援、プログラミング教室、イラスト講座などに参加してきた子供たちが、それぞれ精神的にも肉体的にも成長してくれたことを心からうれしく思います。なかには不登校の子や成績が思わしくない子もいて、最後の最後まで合格するかどうかハラハラしました。
何よりうれしいのは、その多くが4月からボランティアとして参加してくれたこと。事前の説明会で、ある女の子にボランティア志望の理由を尋ねると、「恩返しです!! 頂いた恩を返すつもりで、子供たちのために尽くします」と元気よく話してくれました。
「こども食堂」には、学校に行きづらい子、勉強が苦手な子、経済的な理由から塾に通えない子、生きづらさを感じている子、困った行動を取る子などが少なくありません。
そうしたなか、ある小学6年生の男の子が、国際教育に力を入れている難関の中学校に合格しました。
「こども食堂」に通い始めたころは、癇癪持ちで、ちょっと気に入らないことがあると駄々をこねていました。将来を心配しましたが、ボランティアの高校生や大学生、社会人の方々に支えられ、別人のように成長。先日の学習支援では、まだ習っていない中学1年の英語や数学の問題に黙々と取り組み、終わってからも「僕、手伝うよ」と自ら最後まで片づけをしてくれました。
受験の動機は、「こども食堂」のタイ人のボランティアのおばさんに「世界に目を向けよ。高みを目指せ」と励まされたからだそう。「こども食堂」の醍醐味は、人間として成長し、変われるところにあるのだと再確認しています。
お道では、「もう道というは、小さい時から心写さにゃならん。そこえ/\年取れてからどうもならん」(おさしづ明治33年11月16日)と教えられます。どんな子供も隔てなく、精いっぱいの温かい心で接する中に、自然と感謝の心が写っていくのだと思います。
乾さんを取り上げた過去記事は下記URLからご覧いただけます。
https://doyusha.jp/jiho-plus/pdf/20240424_inui.pdf