流麗な和歌にふれながら平安文学の源流をたどる – 紙上展 天理図書館 東京・天理ギャラリー 第185回展「古今和歌集と伊勢物語」から
2026・5/6号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
5月17日~6月14日
天理図書館(三濱靖和館長)は、東京・天理ギャラリー(東京都千代田区)で、第185回展「古今和歌集と伊勢物語」を5月17日から6月14日まで開催する。平安時代前期、わが国初の勅撰和歌集である『古今和歌集』が成立。また、同時期には私家集や歌物語も多く作られ、なかでもその先駆けとされる『伊勢物語』は、後世のさまざまな分野に影響を及ぼした。本展では、同館所蔵の『古今和歌集』『伊勢物語』を中心とする資料群から、主要な写本や自筆注釈書など41点を展示。流麗な和歌の魅力と美しい写本の世界にふれることができる。ここでは、展示資料の一部を紙上紹介する。
僻案抄
『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』について、藤原定家が父・俊成から受けた教えを中心に、歌句の注釈や本文の検討、人物・史実の考証などをまとめたもの。本書は定家の子・為家(1198~1275)が執筆したと伝えられており、現存する中で最古の写本とされる。
古今和歌集片仮名本
歌道の名家である六条藤家の代表的歌人・藤原清輔(1104~77)は、『奥義抄』などの歌学書を著すとともに、『古今和歌集』の書写・校合にも携わった。清輔が注や校異を施した伝本は「清輔本」と呼ばれる。本書はその系統に属し、本文を片仮名で記していることから「片仮名本」と称される。
貫之集下断簡
本書は、後奈良天皇から本願寺に贈られた『三十六人集』の一部で、後に分けられた『貫之集』下巻の断片。三十六歌仙の歌を集めた『三十六人集』の中でも最も古い写本の一部である。異なる種類の紙をつなぎ合わせ、金や銀を散らし、花や鳥の模様が描かれるなど、美しく装飾されている。
古今和歌集両序
『古今和歌集』には、紀貫之による仮名序(かなで書かれた序文)と紀淑望による真名序(漢文の序文)の二つの序文がある。特に貫之の仮名序は、「やまとうたは、人の心をもとにして生まれる言葉である」と、和歌の大切さを説いている。これは、当時、漢詩よりも低く見られていた和歌の価値を高めようとする意図があった。
伊勢物語愚見抄
室町期の公家・一条兼良による『伊勢物語』注釈書。最初に兼良が著した後、自身で訂正増補した。旧来の荒唐無稽な注釈に対する批判が加えられており、初めての学術的注釈書として、画期的であった。本書は甘露寺親長による写しである。















