宗派を超え宗教者が集い災害支援の未来を考える – シンポジウムに教友が登壇
2026・5/20号を見る
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東日本大震災15年、熊本地震10年
シンポジウムに発題者として登壇
磐城平大教会前会長の平澤勇一さん
未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」から15年、また「平成28年熊本地震」から10年の節目を迎えるなか、宗教者災害支援連絡会の発足15周年記念シンポジウム「宗教者による災害支援の軌跡と未来――東日本大震災15年・熊本地震10年を超えて」が5月2日、真如苑友心院アネックス(東京都千代田区)で実施された。このシンポジウムに、主催者の要請を受け、平澤勇一・磐城平大教会前会長(67歳・福島県いわき市)が発題者の一人として登壇。長年にわたる本教の被災地での救援活動などを報告するとともに、自然災害に対して宗教が果たしていくべき役割について発表した。
同連絡会は、2011年の「東日本大震災」を受け、宗教者の立場から、被災した人の受け入れや被災地での支援のあり方を考えようというもの。
発足から15周年を迎えた今年、宗教者による長期的な災害支援の実践と歩みをあらためて振り返り、近い将来に想定される巨大災害にどのように備え、連携の輪を広げていくべきかを見つめ直そうと、同シンポジウムが企画された。
教訓を忘れず手を取り合い
当日は、宗派を超えて5人の宗教者が登壇。平澤さんは「災害支援の軌跡と未来――天理教の災害支援活動から」と題して発表した。
その中で、本教が災害支援に力を注ぐ根底には、「ひのきしん」と「たすけあい」の教えがあると述べた。そのうえで、「『こどもおぢばがえり』などを通して、これらの教えが幼少期から自然と育まれていることが、災害発生時に『お願いづとめ』や『災害現場での救援活動』などの人をたすける行動に移すことにつながっている」と話した。
続いて、災害救援の具体的な取り組みとして、災害救援ひのきしん隊(=災救隊)の活動を詳しく紹介。「災救隊は被災現場への出動時、重機や作業機材を完備し、隊員の宿泊や食事も準備を整えるなどの“自己完結型”で対応している。これまで、さまざまな災害現場で行政と共同で救援活動を展開し、現在は行政側から出動要請がかかることも少なくない」と説明した。
また、「東日本大震災」においては、災救隊とは別に、各地から訪れるひのきしん者による支援活動を調整するための拠点として、磐城平大教会に「いわきひのきしんセンター」を独自に設け、延べ約1万人の支援者が駆けつけたことに言及。教会や教区・支部、個人など、有志による救援活動も活発に行われていることにふれたうえで、「『令和6年能登半島地震』では、被災地の教会を拠点に『珠洲ひのきしんセンター』が開設され、現在も被災者に寄り添った活動が展開されている」と述べた。
最後に平澤氏は、「東日本大震災」から15年が経過した現在も、被災地には分断や風評被害などの爪痕が残っているとして、「“あのとき”得た教訓を私たち宗教者が忘れることなく、宗派を超えて手を取り合い、災害に備えた支援体制を築いていきたい」と締めくくった。
このほか、吉尾天声氏(真宗大谷派)、橋本晶子氏(煉獄援助修道会)、竹内真治氏(金光教)、馬目一浩氏(浄土宗)が、それぞれ発表。この後、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の篠原祥哲事務局長による総括や、登壇した5氏による討議の時間が設けられた。
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宗教者災害支援連絡会代表の稲場圭信・大阪大学大学院教授は、本紙の取材に対し、「天理教には、長い歴史の中で地域とともに歩んできた全国の教会という“場”の力と、ひのきしんの精神に根ざした揺るぎない信仰理念の柱がある。120年以上にわたる災害支援の歩みの中で、地域を支える各地の教会と、全国から駆けつける災救隊の存在は、被災者にとって大きな心の支えになっており、非常に頼もしい。今後も行政から厚い信頼を寄せられている組織力を生かし、困難な状況にある人々のため、“真っ先に駆けつけてくれる頼もしい存在”であってほしい」とコメントした。











