心を低くし人に寄り添う料理を オーストラリアの日本食レストラン 副料理長 古川洋介さん – ようぼく百花
2023・7/5号を見る
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オーストラリア・メルボルンにある日本食レストラン「Robata Melbourne」。炉端焼きスタイルの活気あふれる店内には、炭火でじっくりと焼き上げた和牛ステーキや焼き鳥のほか、新鮮な魚介を使った寿司や刺身などの日本料理が並び、連日、多くの客が訪れている。
「歴史ある日本料理の魅力を、一人でも多くの人に伝えられたらうれしい」
同店で副料理長を務める古川洋介さん(46歳・甕港分教会ジョイアス甕港布教所長・メルボルン)は、お道の教えを心の支えに、異国の地で和食の豊富な知識と卓越した技術で日本料理を提供する”ようぼく料理人”だ。
広島の未信仰家庭で生まれ育った。地元の高校を卒業後、海外に憧れて天理大学国際文化学部ブラジル学科(当時)へ進学。20歳のころから、天理市内の焼き鳥店や和食店など、さまざまな飲食店でアルバイトをするなか、多くの”ようぼく料理人”と出会った。
「私自身に信仰はなかったが、常に信仰を胸に、最高の一皿を提供しようとする彼らのもとで働くうちに、自然と料理人を志すようになった」と話す古川さん。大学卒業後も、飲食店で勤めながら腕を磨いた。
百パーセントを出し尽くす
平成17年、教会で生まれ育ったいとさん(44歳)と結婚。ようぼくの仲間入りを果たした古川さんは、いとさんのオーストラリア布教への思いを受け、21年に家族で同国へ移住することを決断した。
渡豪後、現地教友の支援を受けながら、異文化の生活に馴染んでいった。古川さんは、メルボルンに店を構える日本料理店を渡り歩き、新たな食文化にもふれながら、料理人としての腕を磨き、日本食レストラン「Izakaya Den」と「Miyako」の料理長を歴任。さらに、世界有数の創作和食店として知られる「Nobu Melbourne」でもシェフを務めた。
「親里の”ようぼく料理人”から教わった『仕切り根性、仕切り力、仕切り知恵。出しきったときに神様に働いていただける』との言葉を胸に、常に自分の持てる百パーセントの力を出し尽くすことを大切にしてきた」
こうしたなか、2022年、料理人としてのさらなるステップアップを目指し、「Robata Melbourne」へ転職。現在、副料理長として厨房の指揮を執っている。
料理人としての仕事の傍ら、古川さんは布教実動も欠かさない。教祖140年祭へ向かう今日、妻と共に仕事の合間を縫って週1回、公園でパンフレットを配ったり、駅前で神名流しをしたりするなど”種蒔き”にも努める。
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異国の地で日本料理を提供する際、お道の教えが重要なポイントになるという古川さん。「オーストラリアは世界有数の多民族国家なので、レストランを訪れるお客さんの要望は多岐にわたる。そんなとき『日本人だから、こちらが正しい』といった態度では、お客さんが心から幸せを感じる料理を振る舞うことはできない。だからこそ、これからも”ようぼく料理人”として、自らの心を低くし、さまざまなアイデアを取り入れることも心がけ、現地の人に寄り添った料理を提供していきたい」と話した。