甲子園めざす新チーム 夏の成長に期待 – 天理高校野球部
2023・7/5号を見る
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天理高校野球部は、7月8日に開幕する「全国高校野球選手権記念奈良大会」を目前に、練習に力を入れている。
昨夏、5年ぶりに県大会を制し、甲子園に出場した同部。全国の大舞台では初戦に勝利したものの、2回戦で海星高校(長崎)に敗れた。
新チームの下林勇希キャプテン(3年)は、走・攻・守三拍子そろった中心選手。3歳年上の兄で、同部の元キャプテン源太選手(現・天理大学野球部)に続き、チームを牽引する。
同部の選手たちは、ミーティングの中で「前向きさや、積極的に取り組む姿勢が足りていない」ことをチーム共通の課題に挙げ、「覇気」をスローガンに掲げた。
県秋季大会は2回戦から出場。準決勝でライバル・智辯学園高校を4-1で下すと、高田商業高校との決勝戦も制して、優勝した。
しかし、その後の近畿大会では、初戦で社高校(兵庫)に7-13で敗れた。
同大会の反省から、選手たちは技術、精神力、体力すべてを一層レベルアップさせようと、シーズンオフはウエートトレーニングを中心に練習を重ねてきた。
一手一つに勝ち抜く
チームのエースは、制球力の高さを武器に緩急を生かして打者を打ち取る技巧派サウスポーの中川輝星投手(3年)。「オフシーズンのトレーニングで、ボールのキレが上がった。どんどんストライクを取って抑えていきたい」と意気込む。
四番の松本大和選手(2年)と、五番の大谷汰一選手(同)は、昨夏の甲子園を経験した強打者コンビ。ここぞという場面で勝負強さを発揮する。
また、キャッチャーの赤埴克樹選手(3年)は広角に打ち分けるバッティングはもとより、守備面では昨年から成長したスローイングや、相手打者を翻弄する配球で投手陣をリードする。
4月には、夏の大会の前哨戦となる「春季近畿地区高校野球大会」奈良県予選が開幕。天理高校は初戦の奈良大学附属高校戦を7-2で快勝。その後も危なげなく勝ち進み、決勝は智辯学園高校との再戦となった。
初回、三回と両校1点ずつを挙げ、2-2のまま試合は後半へ。七回表に1点を奪われた裏、智辯学園高校のエラーと赤埴選手のタイムリーヒットで逆転に成功する。しかし、直後の八回表に4失点し、4-8で敗れた。
試合終盤に打ち込まれたことを踏まえ、夏に向けて投手力の強化に取り組んでいる同部。ストレートや変化球にキレのある村上洸星投手(3年)をはじめ、控え投手も調整に余念がない。
一方、春季大会では、入学したばかりの1年生部員もメンバー入りした。野球センスが光る赤埴幸輝選手(1年)と、バットコントロールが良く、足も速い下坊大陸選手(同)は試合に出場しており、夏の県大会での活躍に期待が懸かる。
中村良二監督(55歳)は「いままでやってきたことを信じて、自信をもって戦ってほしい。この夏を通じて、競技面だけでなく、人間的な面での成長も期待したい」と話している。
下林キャプテンは「応援してくださる天理の人たちに甲子園でのプレーを見ていただくことが恩返しにつながる。一手一つに心をそろえて県大会を勝ち抜き、甲子園出場を目指す」と語った。
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天理高校の初戦は7月10日。橿原市の佐藤薬品スタジアムで、奈良大学附属高校と対戦する。