大学選手権 3大会ぶりベスト4入り – 天理大学ラグビー部
2024・1/17号を見る
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天理大学ラグビー部は1月2日、東京・国立競技場で行われた「全国大学ラグビー選手権大会」準決勝に出場。3連覇を狙う帝京大学(関東大学対抗戦Aグループ1位)に12-22で敗れたが、3大会ぶりのベスト4となった。
天理大学は前半14分と17分に続けてトライを奪われるが、21分に松野楓舞選手(3年)が相手ディフェンスを力強い突進で振りきりトライ。これを機に攻勢をかける天理大は、35分にもスクラムからテンポよくパスをつないでトライを決め、12-14の2点差で前半を折り返した。
しかし、後半に勢いを盛り返した帝京大学に抑えられ、敵陣へ侵入するチャンスがつかめない。必死のディフェンスで相手の猛攻をしのいだが、じりじりと点差を広げられ、12-22で王者の強さに涙をのんだ。
小松節夫監督(60歳)は「いろいろと準備してきたが、相手が一枚上手だった。スクラムで押されることはあったものの、密集や接点などで、選手たちは予想以上に頑張ってくれた。足りなかった部分を今後しっかりと磨き上げ、来年こそ優勝を目指したい」と話した。
北條拓郎キャプテン(4年)は「前半は、いいフィジカル勝負ができた。両フランカー(6・7番)が1年生という若いチームなので、この試合を糧に、さらにチームとして成長し、日本一を目指してもらいたい」とエールを送った。
悪性リンパ腫乗り越え 富田凌仁選手
昨秋のリーグ戦と大学選手権で背番号「1」を付け、スクラムの第1列で体を張ったプレーを見せた富田凌仁選手(4年)。在学中に「悪性リンパ腫」を発症。2度の闘病生活を乗り越え、昨年春に再び漆黒のジャージーに袖を通した。
福井県出身。高校時代は全国大会に出場し、「大学では、もっと強いチームで」と天理大の門を叩いた。
連日、夜遅くまで自主練習に明け暮れ、大学2年の秋にレギュラー入り。ところが、同じころ「悪性リンパ腫」を発症し、1カ月にわたり放射線治療を受けた。その後も脾臓への転移が判明。2週間に1度、抗がん剤治療を受ける闘病生活を送った。
そんななか、母親から曾祖父が天理教の教会長だったことを教えられ、「天理に不思議な縁を感じた」という。闘病中は、小松監督らからおさづけの取り次ぎを受けたほか、スタッフと共に選手のサポートにも回った。
治療を終え、昨年4月から練習に復帰。家族はもとより、支えてくださった人たちへの恩返しをと猛トレーニングを重ね、再びフィールドに立った。
準決勝を終えた富田選手は、「周囲の人たちへの感謝の気持ちを胸に闘った。自分では『やりきった』と感じている」とコメントした。